事業統合は日常茶飯事 これからが正念場だ 日立製作所社長・中西宏明

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子会社時代の成功体験 対話集会で意識変革

──向こうも、またカッとなる。

それが狙いだから(笑)。これを私は3~4年続けた。すると、最初はメールでも、「そんなコストのことばかり言うCEOは嫌いだ」なんて、けっこう言われたけど最後は違ってきた。結果に結び付くと雰囲気がよくなるわけね。HGSTでは、こういうよい循環ができた。

そこで、日立全体だと規模が違うからどこまでできるかわからないけれども、「やろう!」と思って始めた。すると、受け止める側の総務なんかは「ご視察、ご講話」というとらえ方をしちゃうんだけど(笑)、最近はだいぶ変わってきた。私はミーティングの様子をブログに書くから。

──経営者としての原体験は、やはりHGSTですか。

その前の工場時代から、コミュニケーションは大事だとつねに思ってやってきた。結局、コミュニケーションでほとんど決まっちゃうからね。私はもともと制御屋で大きなシステムを担当していたので、ワンチーム数百人というのは若い頃から当たり前。ベクトルの合う合わないで結果が違うのは、身にしみている。

──今後の事業戦略でM&Aは。

必須のツールです。顧客基盤を買うのか、技術を買うのか、明確に狙いを定めたM&Aはどんどんやる。特定のターゲットを決めて、この地域でこういうことやろうと決めたら、必ずM&Aはついて回る。

──以前、三菱重工業との統合話もありましたが、一般論として経営統合の話はもう考えないですか。

そんなことないですよ。きちんとしたグローバルポジションが作れる展望のない事業は、いずれおかしなことになる。だから、売るのか、どこかと手を組むのか、そういうことを考えないと。事業統合なんて日常茶飯事ではないですか。

なかにし・ひろあき
1946年生まれ。70年東大工学部卒、日立製作所入社。国際事業部門長を務めるなど海外経験が豊富。2005年に子会社の日立グローバルストレージテクノロジーズCEOに就任し、赤字の同社を再建。09年3月期の巨額赤字を受け日立副社長に復帰。同じく復帰組の川村隆会長兼社長(当時)らと再建に当たる。10年4月より社長。

(聞き手:鈴木雅幸、長谷川高宏 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年8月25日特大号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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