佐々木常夫氏「僕が必ず年頭所感を書く理由」 「書く」ことで自分の幸せに責任を持つ

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――途中は予定変更があっても、最終的には目標を達成されたということですね。

そのときは達成しましたね。

――年頭所感に書いたことの何割を達成しましたか?

だいたい7割というところでしょうか。自分がやれるよりちょっと上の目標を立てるんですよ。等身大から大きく離れると途中であきらめてしまいますから、全力でやればキャッチできる目標を立てるんです。

部下の昇進もフォローアップせよ

本田圭佑選手は少年時代にセリエAを夢見たからこそ、厳しいトレーニングにも立ち向かえたのだと思います。あれは遠い「夢」として必要なのです。いきなり「来年セリエAに入る」と書いてもムリなわけで、年頭所感は現実的でなければなりません。それは、今の自分の身の丈を知るということでもあります。

しかし、かならず達成できるわけではありません。不測の事態が起こったりして、3割は達成できずに終わります。仕事だけではなく、人生だって、こうなりたいと思っていてもいくらだって変わるわけです。変わったときに、じゃあどうするのかと考え直す必要がある。だから目標を立てなくていいのかといえば、そうではありません。目標があるからこそ、振り返りや軌道修正ができるわけです。

長いスパンの目標を立てたら、年頭所感で経過確認をする。これを続けていたら、いつの間にか同期トップで取締役になっていました。そのことが私の世界を広げてくれたし、みんなに期待されそれに応えることで、それなりによい待遇を手に入れました。幸運ばかりではありませんでしたけどね。言われたことをただハイハイとこなしているだけで、偉くなれるはずがありません。

――年頭所感には主に事業計画を書いていたのですか?

目標は事業計画に限りません。部下を昇進させるのもそのひとつだし、できない人を一人前に育てることも同様に求められているわけです。だから年頭所感には、気にすべき部下のことも書く。それを書いて1年が始まれば、自分の課題として明確に意識しますから、やはり努力しますよね。

――部下の昇進も目標にするのですか?

『上司の心得』にも書きましたが、部下を育てるのは上司の最重要課題です。

何人も部下がいれば、毎年誰かが昇進の年に当たります。私がいた当時の東レでは、高卒が二格、大卒の新入社員が三格、そこから四、五、六格とあって、次が課長二格、課長一格、さらに次長、部長二格、部長一格と昇格の段階がありました。

そのもっと先には取締役の席がある。社員たちはそれぞれ3年おきに戦いがあって、そこで遅れる人もいれば、先んじる人もいるんです。

私は新しい部署に行くたびに部下のプロフィールを見て、彼は少々遅れているなと思ったら、私の下でキャッチアップさせようと考えていました。1年前から人事部にかけあったり、上司を説得したり。そんなことを1年前からやる上司なんていませんから、断然有利なんです。

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