佐々木常夫氏「僕が必ず年頭所感を書く理由」 「書く」ことで自分の幸せに責任を持つ
――佐々木さんの努力は、部下も知っていたのですか?
私からあえては言いません。でも、周りが見ていて「おや、あいつ上がったんだ」ということになりますよ。そういう話には社員は敏感なものです。「あいつの上司、どうもずいぶん前から動いていたらしいよ」ということは自然と伝わります。それで私がまた異動になると、次に部下になる人たちが「佐々木ってどんな人?」って私の元部下に聞くわけです。そこで「部下の昇格に熱心だよ」と、頼まなくても話してくれるんですから。
そのおかげでみんな一生懸命働いてくれて、異動先で私がどれだけやりやすかったことか。しまいには「出世したかったら佐々木のところに行け」と言われるようになりましたよ(笑)。
A4、1枚にまとめるのがいい
――年頭所感の書き方に、佐々木さんなりのセオリーはありますか?
要点だけ、箇条書きで書くんです。異動後には「ここの職場にいる間にこういうことをしようと決意した」と書く。それを年末年始に振り返り、
という具合に、なるべく端的にまとめていました
それから、A4サイズ1枚にまとめること。2枚3枚は絶対にダメです。書くことが多いと意識が分散してしまいます。1年でできることなんて限られていますから、骨太のやつを書く。まあ、ぜいぜい7~8項目でしょうか。
――どんなタイミングで年頭所感を書いているのでしょうか。
書き出すのは12月初めから。ワーッと書きなぐっておいて、年末年始にじっくり見直して完成させます。毎年、完成するのは箱根駅伝が終わったときです。元旦の実業団駅伝、2日、3日は箱根駅伝を見ながら書く。箱根駅伝が終わったときにもう1回読み直して、よし、今年はこれで行くと。
私は駅伝が大好きでね。走者の脚がつってしまって、早くタスキを渡さなければ、早く受け取りたいという場面などは、もう自分の人生を見ているようで(笑)。
2015年は「五郎丸ポーズ」が流行して、あれによってルーティンの有効性というものが注目されましたね。私の中では年頭所感はまさにそういうものだったと思います。箱根駅伝が終わった時に読み返し、それを元に出社してすぐ部下全員にメッセージを出すというね。
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