佐々木常夫氏「僕が必ず年頭所感を書く理由」 「書く」ことで自分の幸せに責任を持つ
そこで3年計画を作りました。まず1年目は大まかな流通経路の枠組みを描き、お客さまを回って理解を求めました。具体的に着手したのが2年目。どういう会社を作って、どんな人材を集め、どのような手続きを進めていくのかを詰める。3年目は完成の年ですから、期限を決め実際に会社を設立する。中期計画があってはじめて、単年度の計画があるわけです。私はそれを毎年、年末年始に考えて、自分自身の年頭所感としてまとめていたわけです。
目標は書いて残し、必ず見直してきた
――今いる部署で何をやろうという目標があったわけですね。漠然と仕事をしていてはそうはいきませんね。
時々思い出したように「今年はこれをしよう」なんて言う人がいますね(笑)。しかし思いつきで「今年はこれだ!」とやっても途中で忘れてしまうのが関の山です。思うだけなら消えていってしまいますが、書くと残ります。目標は、確実にフォローアップできることが大事なんです。
目標がなければ計画は立てられません。だから年頭所感をまとめようとしたら、自分の目標と向き合うことになります。これは非常に意味のある作業です。
しかしもっと重要なのは、「計画を見直すこと」です。3年計画の1年目は、目標全体のここまではできたが、ここをやり残してしまった。2年目に当たる今年、これを完遂するためにはどうするか――。そんな風に、今年を考えるときには昨年を振り返る作業が必要です。自分が立てた目標に対して、できたことは何か、できなかったことは何か、ここで緩んでしまったなと反省ができるでしょう。
重要な案件から優先順位をつけたつもりでも、途中で重要ではなくなるということもあります。そもそも、ものごとが計画どおりに行くなんてことはまずありません。そのときには、早々に修正しなければならないんです。
――臨機応変力が大切だと。
その通りです。プラスチック部門にいた時には、2年半で12の新工場を作りました。そのとき、異動して最初に考えたのは、「とにかく世界各地に工場を作ろう」ということでした。考えていたところにタイミングよく三井化学から合弁の話があり、インドネシアに工場を作ることになりました。じゃあ、次にはマレーシアの増設をやろうと。この2つは1年目にやろうと考えました。そして2年目はアメリカとヨーロッパ、3年目には中国だとざっくり考えていました。
ところがアメリカの工場を作ってみると、その1つでは足りないということが分かった。そこで「ヨーロッパは後に回し、アメリカを優先する」と書き直しました。3年目はフランスの会社を買収してそこの工場を取得し、そのあとすぐ中国に行って3カ所作りました。その中国の増設を終え、3年目で予定通り転勤したのです。
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