東京電力・再生への条件、1兆円投入で国有化

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7月31日には、政府が機構を通じて東電に1兆円を出資し、議決権の50・11%を取得。これに先立って、政府が東電の利益の9割を占める家庭用電気料金の値上げを認めたこともあり、8月9日に発表された第1四半期(2012年4~6月期)決算では、11年3月期の通期決算から記載されていた「継続企業の前提に関する疑義」の注記があっさりと外された。「国民の皆さんから最後のチャンスをいただいたと社員一同認識し、新しい東京電力としてしっかりと立て直していく」。決算会見の冒頭、廣瀬社長はこう語った。

新体制下では取締役会に加え、監査委員会なども積極的に開催されている。大株主である東京都の猪瀬直樹・副知事の推薦を受けて外部取締役となった公認会計士で監査委員の樫谷隆夫氏は「単なるコンプライアンスの監視役ではなく、経済性や効率性などを考えて提案もしていく」と意気込む。現場運営は東電に委ねられているが、「東電では部長が実務をやっていて結構な権限がある。部長人事が野放しにならないよう取締役会が執行役を監視するなど、チェック・アンド・バランスはしっかりやる」(政府関係者)と、着々と改革への取り組みが進んでいる。

しかし、「稼げる」企業に再生し、独り立ちできるまでの道のりは長い。事業計画では電気料金値上げと、来年4月から柏崎刈羽原発を順次再稼働し、14年3月期には営業黒字化するとしている(図)。


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