「がん哲学外来」の医師が語る”生きる意味” 死ぬときに後悔しないために、やるべきこと

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「どんな人にも役割がある」ということが理解できると、人は幸せになれます。世の中で一番大切なものは何かと聞かれた時、多くの人は「自分の命」と答えるでしょう。でも、そう考えると、死がネガティブ(命の敵)なものになってしまい、死におびえて生きることになる。ですから、「自分の命より大切なものがある」と思ったほうが、幸せな人生を送れるんです。その「自分の命より大切なもの」というのが、「役割」なんです。

「この人は素晴らしい」と思った人が勧めた本は読む

「人生を決定づけるような本」と出会うこと

では、自分の役割はどうやったら見つかるのでしょうか。それは、「出会い」によって知ることができます。いい先生、いい友達、いい本。この3人の師が生きる上で大切なことを教えてくれます。もし、いい先生に出会えなくても、いい友達と出会うことはできます。もし、いい友達とも出会えなかったとしても、いい本と出会うことはできます。本は一人でも読めます。つまり、誰でもいい師と出会えるということです。

何歳になってもいい本との出会いは遅くはありません。しかし、できれば25歳までに「人生を決定づけるような本」と出会うといい。夜を徹して読み込んでしまうような本と出会ったことがありますか? まだそんな本と出会えていないのなら、あなたが尊敬している人が勧める本を読んでみるといいでしょう。特に、実際に会って「この人は素晴らしい」と感じた人が勧めたものは、ぜひ読んでみることです。

私も浪人時代に出会った先生から勧められて、政治学者の南原繁の本を読みました。その先生は南原繁が東大総長だった時に直に教わった経験があって、私に南原繁の話を毎日聞かせてくれました。たいへん興味を持った私は、南原繁の全集10巻を買いに行き、夜を徹して読みました。その本のなかに「私の先生は新渡戸稲造、内村鑑三」だと書いてあった。そこで新渡戸稲造、内村鑑三の本も読むようになった。読書はこんな風に筋道を立てて読むといい。私はそのおかげで、いろんな人に振り回されない、一本、筋の通った意見を持てるようになりました。

人に何かを伝えるには、「○○しかない」と言い切ることが大事です。「かもしれない」や「だと思う」では、人の心を打つ話はできません。人の話を聞くときに、その人が「○○しかない」と言い切ってくれるかどうか。そこを意識して聞いてみるといいでしょう。本物は話すときに必ず言い切るものですよ。

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