「がん哲学外来」の医師が語る”生きる意味” 死ぬときに後悔しないために、やるべきこと
先ほど、いい先生と出会うことが大事だと言いましたが、本物を探すには、「常に意識しておくこと」が大事なんですね。そして「行動する」こと。若い人は外に出ない人が多いけれども、家に閉じこもっていてはだめ。一歩外に出る勇気がないと、いい先生とは出会えません。何も遠くに行く必要はありませんよ。お金がかかったり、遠くまで行かないと手に入れられないようなものは、本物ではありません。本当にいい物はすぐ近くにある。そしてお金もかからない。誰でも手に入れられるものなんです
30代までは言われたことをがむしゃらにやる時期
いい先生と出会って、いい話を聞いても、なかなかいい方向に変われない人もいる。それは“自分の器”を自分自身でいっぱいにしてしまっているからです。
どんな人でも器を持って生まれてきます。若いうちは、その器に水が入っても穴が開かないよう頑丈にしていく時期。それなのに、自分で水を入れてしまう人がいる。せっかくいい師が水を入れてくれようとしているのに、もったいないことですね。だから、みんな器は空っぽにしたほうがいい。人生とは、空っぽの器に水を入れることなんです。なのに自分から水を入れてしまうから、出会いが空しくなる。生きることがつまらなくなる。
私は、いろんな悩みを持った人と会いますが、そういう人は自分で水を入れてしまっていることが多いですね。器が空っぽだったら、どんなにむなしくても誰かが水を入れてくれます。そうすると心が満たされてくる。自然と悩みがなくなるんです。
やりたいことがわからない人が多いと聞きます。そういう人は、何でもいいから今できることを一生懸命やること。特に20代30代は人から言われたことをがむしゃらにやるといい。「今の仕事が自分に合っていない」なんて考えてはだめ。与えられた仕事が自分の役割だと思って、必死に取り組んでみる。そうすれば、40代で自分のやりたいこと、やるべきことが見えてきます。そしたら好きなことをすればいい。やるべきことは日々の仕事を頑張ることで浮き彫りになってくるんです。さまざまな経験をすることで、ぬれたタオルが絞られるように、無駄なものが落ちていくんですよ。