「がん哲学外来」の医師が語る”生きる意味” 死ぬときに後悔しないために、やるべきこと
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樋野興夫氏 順天堂大学医学部教授がん哲学外来理事長
1954年、島根県生まれ。医学博士。順天堂大学医学部、病理・腫瘍学教授。一般社団法人がん哲学外来理事長。米国アインシュタイン医科大学肝臓研究センター、米国フォクスチェースがんセンター、癌研究会・癌研究所実験病理部部長を経て現職。2008年、「がん哲学外来」を開設。肝がん、腎がんの研究での功績が認められ日本癌学会奨励賞、高松宮妃癌研究基金学術賞などを受賞
7年間で3000人強。たくさんのがん患者とその家族が訪れる人気の対話室がある。病理学者の樋野興夫氏が開いた「がん哲学外来」だ。外来といっても臨床医による診察はなく、1時間にわたって無料でがん患者やその家族と会話をし、心のケアをする。話の内容は、担当医には言いづらい人間関係の悩みそして不安、精神的苦痛を打ち明ける人も多いという。
日々、多くのがん患者と向き合っている樋野氏に、「死ぬ時に後悔しないためにやっておくべきこと」を聞いた。
自分の役割を知ると、人は幸せになれる
人には必ず“役割”があるんです。後悔しない生き方をするためには、まずこのことを知っておかねばなりません。こういう話をすると、「自分にも役割があるのだろうか」と、疑問に思う若い人が多いのですが、どんな人にも必ず役割はあります。病気で寝ている人にも役割があるし、幼くして亡くなってしまう人にも役割はある。
生後2時間で赤ん坊を亡くしたご夫婦がいらっしゃいました。その方々と10年後に会う機会がありましてね。そのときそのご夫婦は「あの子が生まれてきたから、今の私たちがあるんです。あの子の分も楽しく素敵な人生を送りたいと思っています」と私に話してくれました。どんなに短い人生でも生きている限りは一人ひとりに役割があるんですね。大事なことは、それに気づけるかどうかです。
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