シャンプーを使わない「湯シャン」のススメ 頭皮トラブルに効くのはシンプルケアだった

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ただし、男性の中には、そもそも皮脂の分泌が活発で、過剰な皮脂で真菌が繁殖する「脂漏(しろう)性皮膚炎」を起こしやすい人もいる。このような状態のときには、「湯シャン」は不向きだ。

「分泌された皮脂が、マラセチアという皮膚の表面にいる真菌で分解されると、過酸化脂質という物質に変わり、これが頭皮の赤みやかゆみなどの原因になります。日頃から頭皮が脂っぽいという人は、過剰に分泌された皮脂を固形せっけんで落とすことが重要です」

頭皮が臭いのは、過酸化脂質だけでなく、皮脂にノネナールという加齢臭の物質が含まれるためだという。皮脂が多い人ほど、加齢臭が生じやすくなり、シャンプーなどでバリア機能を壊してしまうと、皮脂の分泌が過剰になってさらに臭くなる。そのため、固形せっけんがおススメという。

「男性は、男性型脱毛症を気にされる方もいますね。これは、皮脂の分泌とは異なります。男性ホルモンの影響を受けて、毛が十分に育たず、おでこの生え際や頭頂部の毛髪が薄くなるのが特徴です。湯シャンや固形せっけんだけでは防ぐことが難しく、治療薬がありますので、お近くの皮膚科に相談してみてください」

抵抗ある人は休日前に試してみよう

通常の髪のトラブルの改善は、シャンプーを止めるだけで十分。池田流「湯シャン」の方法は次のとおり。

①38度~40度のぬるま湯で、弱めの水圧にして髪の毛と地肌を洗う。熱めのお湯では、頭皮や髪がやけどをしたのと同じようにダメージを受けるため避ける。
②ゴシゴシすると炎症を起こしやすいので、地肌はやさしく洗う。
③洗髪後には、タオルでやさしく水分をふき取るようにし、自然に乾かすようにする。
④ドライヤーは、頭皮に悪影響を与えるため、なるべく使わないようにする。使用する場合は、頭皮や髪の少し遠くから風を当てるようにする。

 

「固形せっけんを使う場合も、ゴシゴシ洗うのは厳禁です。手の平で泡立て、やさしく頭皮を洗うようにしましょう。そして、洗い過ぎは頭皮によくありません。洗髪は1日1回と心得てください。乾かし方は『湯シャン』と同じです」

枝毛や髪の毛が折れているような状態は「湯シャン」でも回復はできないが、頭皮のバリア機能が正常になって髪へ皮脂がコーティングされるようになると、パサつき感はなくなる。

「シャンプーの習慣を長年持っている方は、湯シャンに抵抗感を持つと思いますので、休日前に試してみてください。長い髪の女性は、髪のパサつき感がなくなるまで3カ月程度かかることもあります。時間はかかりますが、何もつけなくてもしっとりとしたボリュームのある髪を実感できると思います。もちろん、髪や頭皮のトラブルのない方は、シャンプーを使用しても大丈夫です。トラブルを感じたときに、湯シャンを試してみてください」と池田院長は話す。

自分の体の力で、正常な機能を取り戻す湯シャン。ただし、頭皮のかぶれなどがひどいときには、皮膚科へ相談を。

安達 純子 医療ジャーナリスト

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あだち じゅんこ / Junko Adachi

東京生まれ。医療ジャーナリスト。医学ジャーナリスト協会会員。大手企業のOLから転身。フリーランスの雑誌記者としてさまざまなジャンルの取材を行う中で、病気の発生メカニズムに興味を持ち、医療関係の記事の執筆に比重を置くようになった。現在は、先進医療といった最新の医療状況をはじめ、免疫疾患や感染症などに強い関心を持つ一方で、生活習慣病といった身近な病気を対象とした記事を数多く新聞等で連載中。身体に個人差がある中で、その人にとっての健康とはなにか。病気の仕組みはどこまで解明できるのか。また、未知の病気の正体はどこにあるのかなどをテーマに現在取材を進めている。

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