(第57回)豊かな資産を持つ日本はそれを活用すべきだ

✎ 1〜 ✎ 122 ✎ 123 ✎ 124 ✎ 最新
拡大
縮小
(第57回)豊かな資産を持つ日本はそれを活用すべきだ

ニューヨーク証券取引所には中国など海外の有力企業が上場しており、それが米国国内に雇用と所得を生み出していると、第54回で述べた。資本取引が国境をこえて自由に行われる時代になったため、こうしたことが生じている。

国際的な資本取引は、より直接的に、「所得収支黒字」という形での所得を生んでいる。これは、対外資産の運用益から対外負債への利払いを引いたネットの所得だ。こうした所得獲得機会をうまく捉えた国が豊かになる。その反面、捉えそこなった国は、本来享受できるはずの豊かさを手に入れることができない。

日本は、残念ながら後者の代表だ。巨額の対外資産を保有しながら、それをうまく活用できておらず、受動的な運用に終始しているのである。

日本の対外資産の運用利回りは、図のとおりだ(ここで「運用利回り」は、所得収支受取りを年末の対外資産額で割った値として計算した。なお、ここには2007年までの推移を示す。08年以降は、為替レートの変動等によって、以下で述べるのとは異なる傾向が生じている)。

00年以降は、ほぼ3%程度の水準だ。これは、当時の米国10年債の利回り(4~5%程度)にも及ばない低い水準だ。米国国債は、安全で流動性の高い資産なのだから、信じられないことである。対外資産の約半分を証券投資が占めており、なかでも短期国債の比重が高いため、利回りがこのように低くなるのだ。


関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT