(第57回)豊かな資産を持つ日本はそれを活用すべきだ

(第57回)豊かな資産を持つ日本はそれを活用すべきだ

ニューヨーク証券取引所には中国など海外の有力企業が上場しており、それが米国国内に雇用と所得を生み出していると、第54回で述べた。資本取引が国境をこえて自由に行われる時代になったため、こうしたことが生じている。

国際的な資本取引は、より直接的に、「所得収支黒字」という形での所得を生んでいる。これは、対外資産の運用益から対外負債への利払いを引いたネットの所得だ。こうした所得獲得機会をうまく捉えた国が豊かになる。その反面、捉えそこなった国は、本来享受できるはずの豊かさを手に入れることができない。

日本は、残念ながら後者の代表だ。巨額の対外資産を保有しながら、それをうまく活用できておらず、受動的な運用に終始しているのである。

日本の対外資産の運用利回りは、図のとおりだ(ここで「運用利回り」は、所得収支受取りを年末の対外資産額で割った値として計算した。なお、ここには2007年までの推移を示す。08年以降は、為替レートの変動等によって、以下で述べるのとは異なる傾向が生じている)。

00年以降は、ほぼ3%程度の水準だ。これは、当時の米国10年債の利回り(4~5%程度)にも及ばない低い水準だ。米国国債は、安全で流動性の高い資産なのだから、信じられないことである。対外資産の約半分を証券投資が占めており、なかでも短期国債の比重が高いため、利回りがこのように低くなるのだ。


政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • ブックス・レビュー
  • 就職四季報プラスワン
  • 映画界のキーパーソンに直撃
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。