(第58回)企業が高度専門家を評価するのが第一歩

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(第58回)企業が高度専門家を評価するのが第一歩

日本では「経営」がプロの行う専門的な職業としては捉えられていない。日本の企業の「経営者」とは、その企業の中で偉くなった人である。それを反映して、高等教育でもビジネススクールは弱い。この分野で圧倒的に強いのは、アメリカである。

『ビジネスウィーク』誌は、毎年世界ビジネススクールのランキングを公表している。今年の上位10校は、シカゴ(ブース)、ハーバード、ペンシルベニア(ウォートン)、ノース・ウエスタン(ケロッグ)、スタンフォードとなっている。アメリカ以外のビジネススクールはきわめて少数であり、そのほとんどが、イギリスとカナダにある。

『USニューズ』誌のビジネススクール・ランキングによる上位10校は、ハーバード、スタンフォード、ウオートン、MIT(スローン)、ケロッグだ。ファイナンス専攻についてのランキングもある。ウォートン、ブース、ニューヨーク(スターン)、コロンビア、スローンの順だ。

アメリカの一流ビジネススクールの場合、フルタイムの学生数は1000~2000名程度である。これは、大学キャンパスの中で、かなりの勢力になっている。

学費は2年間で10万ドル程度だ。MBA(ビジネススクールの学位)取得は、給与などの待遇に直ちに反映される。MBA取得者の初任給は年12万ドル程度である。これは、どの程度の給与アップなのだろうか。

就職支援団体のNACEが、2010年に学士課程の卒業学生について大学から集めた情報をまとめた結果では、初任給の平均は年4・8万ドルだった。

ハーバード・ビジネススクールの場合には、これが12・1万ドルに上昇する。他方で、学費は11・4万ドルである。2年間で学位を取れるとすれば、逸失所得は9・6万ドルだ。したがって、費用合計は21万ドルだ。他方で給与の増加は7・3万ドルだから、費用は3年弱で回収できてしまうことになる。21万ドルの投資で毎年7・3万ドルの収益と考えると、投資収益率(ROI)は34・8%という極めて高い値になる。

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