世界銀行と中国政府が共同で作成した『2030年の中国』(2012年2月)は、さまざまな側面から中国の将来についての予測と提言を行っている(なお、本報告には有用なデータが多数収録されており、中国経済に関する貴重な資料となっている)。
経済成長については、今後も高度成長が続くと予測している。実質成長率は、15年まで年8・6%、16年から20年まで7・0%、21年から25年まで5・9%、そして、26年から30年まで5・0%だ。
他方で、IMF(国際通貨基金)は、17年までの各国の経済指標についての予測を行っている。
これらの計数をもととして、30年までの日米中の名目GDPを予測してみた。この試算において、17年まではIMFの予測値を用いた。それ以降について、中国は、右記実質GDP成長にデフレーターを仮定(伸び率2・12%)して名目値を算出した。この結果、30年まで名目7%を超える成長が続く。また、日本とアメリカについては、17年の対前年成長率が継続すると仮定した。日本は年率2・5%成長、アメリカは5・3%成長になる。
図に示した結果を見ると、中国のGDPは10年では日本とほぼ同規模だが、30年には日本の3・5倍程度にまで成長する。1人当たりGDPは、現在は日本の10分の1程度だが、約3分の1にまで上昇する。
アメリカとの比較では、中国の経済規模は現在は半分以下しかないが、30年にはあまり変わらなくなる。つまり、30年頃の世界は突出して規模が大きい二つの経済大国(G2)と、「その他」によって構成されることになる。
日米間の経済規模格差も開く。日本は現在はアメリカの約3分の1であるが、30年には約4分の1になる。