(第59回)中国経済は20年後 日本の3.5倍になる

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リーマンショック後、日本では「アメリカ経済の終焉」とか、「資本主義経済が崩壊した」といったことが盛んに言われた。しかし、そうした見方は間違いだった。金融危機とは、一部の金融機関が淘汰されるメカニズムにほかならなかったのだ。

また、70、80年代にアメリカ経済が不調であった期間は、長期的に見れば例外だったのだ。

市場型経済の強さは、ヨーロッパではアイルランドの復活に表われている。07年頃までの住宅ブームが金融危機で崩壊し、銀行が巨額の不良債権を抱えた。アイルランド政府はこれに公的資金を注入したため、財政赤字が拡大し、危機的な状況に陥った。しかし、同国には、先端的なIT産業や製薬産業など、生産性の高い産業が存在する。このため、いち早く回復しつつある。

IMFの予測によれば、同国の経済成長率は13年以降、ドイツを大幅に上回る(なお、同国の1人当たりGDPは現在すでにドイツより1割程度高い)。

問題は、日本と中国だ。日本は、市場メカニズムを使う経済構造に転換できるだろうか?

そして、中国はどうか。一党独裁国家の中国は、一国二制度などを巧みに使い、かつ建前と本音を使い分けて、市場経済の利点を享受している。しかし、この方式をいつまで続けられるかは疑問だ。

野口悠紀雄(のぐち・ゆきお)
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授■1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省(現財務省)入省。72年米イェール大学経済学博士号取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より現職。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書は『金融危機の本質は何か』、『「超」整理法』、『1940体制』など多数。(写真:尾形文繁)

(週刊東洋経済2012年8月11-18日合併特大号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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