1ドル102円台の「円高時代」がやって来る? 日本株は米国の利上げ後どうなるのか

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その動きはすでに見られ始めているともいえる。投資家は、このようなロジックを事前に十分に理解した上で、投資判断を行うのがよいだろう。そうすれば、市場動向に振り回されることもないはずである。これは、株式市場でも同様である。

5月が輸出関連株の投資タイミングか

米利上げの最初の市場のリアクションとしては、筆者はやはり「売り」だと考える。利上げを前後して、株価はいったん調整するのが「株式市場のセオリー」である。このセオリーを知らないと、今回のような株価急落に巻き込まれることになるのである。

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では、今後の株価動向について、どのように考えるべきだろうか。全体像としては、「2016年の5月までは慎重姿勢、6月以降は積極姿勢」となるだろう。

これまで日本株は米利上げにより、平均的に6~8%程度下落している。この下落をこなした後は、上手くいけば、2016年3月中には反発に転じる可能性がある。長引いても半年、つまり、16年5月末ごろには底打ちするとの期待が持てる。

そこまでにドル安・円高が一気に進めば、そこで株価とドルの底値を確認し、16年末に向けて上昇に向かうことになろう。これが、まさに米利上げ時におけるセオリーを基にした、客観的な相場観である。

具体的には、円高が最大で102円程度にまで下落するにつれて、日経平均株価は利上げ開始時の水準を1万8500円とした場合、最大8%下の1万7000円程度にまで下落することになる。この間の投資戦略は、円高を背景に内需・ディフェンシブ銘柄が中心となろう。

しかし、その後はドル円相場が反転し、2016年末には下がった分の半値戻しの水準である112円程度に戻すだろう。年央のドルの下げ幅がそれほど大きくない場合には、年末には120円台を回復するかもしれない。そうなれば、再び輸出企業への関心が高まってくる。

もし5月末までにドルが底値を付ける過程で輸出関連株売り込まれれば、そのときがそれらの企業への投資タイミングになるだろう。日本株は外国人投資家の動向とともに、為替相場の変動に大きく左右される。

前述のような、米利上げ時のドル円相場のセオリーを念頭に入れながら、投資タイミングを計るのが賢明だ。無論、2016年以降の米利上げのペースが重要になることはいうまでもない。最終的には、総合的に判断することが肝要だ。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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