1ドル102円台の「円高時代」がやって来る? 日本株は米国の利上げ後どうなるのか

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では、その場合、市場はどのような動きになるのだろうか? 利上げとなれば、金利が上昇することになる。金利が高くなれば、その通貨は買われると考えるのが一般的だ。しかし、実際にはそのようにはならないのが市場である。

実際、ドルは利上げ観測を反映する形で、この1年半で大幅に上昇している。つまり、今回の利上げを織り込んで、かなり早い段階で上昇していた。そのため、利上げがむしろドルのピークを確認する材料となり、そこから徐々にドルが下げていくといった、普通では考えられないことが起きるのである。

「そんなことはないだろう」と思われるが、直近3回の米利上げ局面でのドル/円相場は、約1年間で平均23.5円も円高に進んでいる。今回の利上げ前のドル/円の高値を1ドル=123.50円とすれば、約1年間で100円近くまで円高が進む計算になる。

利上げ時はドル高織り込み完了、反転は16年6月?

この動きを見るだけでも十分に驚きなのだが、さらに驚くのは、米国が利上げを開始し、徐々に金利を引き上げていく中、日本では金融緩和政策がとられていたことである。「米国は利上げ、日本は緩和策」となれば、ドル高・円安が急激に進むと考えるのが自然だろう。

しかし、実際の動きは前述の通りである。市場は想定される事象を織り込みながら変動し、実際にその事象が顕在化した際には織り込み完了となり、それをきっかけに反対の方に動く習性がある。

まさに「噂で買って、真実で売る」である。このような動きになるとすれば、円高基調が相当進むことになり、日本株にはかなりネガティブな材料になるといわざるを得ない。

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