私は以前、「子供が小さいうちは、単身赴任は避けよう」と申し上げたことがあります。それはつまらない理由では別居するなという意味でした。正中様の場合は2年と数か月の単身赴任を、私なら選ぶと思います。
そのいちばんの理由は、ご長男の強い希望があるにもかかわらず家族を東京へ呼び寄せたとしても、いつまた正中様に転勤命令が出るか、わからない状況だということです。おそらくご長男の高校受験は終わっているかもしれませんが、ご次男の高校受験期かもしれません。そうでないかもしれませんが、いずれにせよ正中家では、どちらかの子供さんの受験期に、父親が単身赴任中だという可能性は十分にあるわけです。
この場合、正中様の仰っておられるように、「よい意味で受験戦争の刺激が多い」、東京に残して単身赴任するほうがあなたはメリットを感じられるかも知れませんが、これはあまり意味がありません。
東京っ子も受験に失敗する人は多いわけですし、しかもあなたのご指摘どおり、福井は全国でもトップクラスの成績優秀県です。暗記一辺倒でなく、「なぜ?」と不思議がらせて主体的に問題解決に向かわせる取り組みが、教育効果を上げていると聞いたことがあります。とはいっても福井県でも同じことがいえるわけですから、受験でどの都道府県が有利かと考えるのは、現実的ではないのです。
それで私は、ご家族の中では人生でいちばん微妙な学年である、ご長男の希望を基準に判断するべきだと考えるのです。ご長男の人生の主役は、ご長男です。彼もいろいろな条件を勘案して、希望を言っているはずです。この機会に親が息子を信じ、受験へのプロセスもその結果も、すべてその責任を彼に負わせるのです。この教育効果に比べると、それに伴う家族の犠牲は、大きいとは思えません。
親の信頼を得た子は伸びる
正中家の場合、むしろ来春に東京に移るほうが、ご長男の受験環境やモチベーションを考えるうえでは、デメリットの方が多いように感じます。もし彼の希望どおり福井で勉強したことで、高校受験が不首尾に終わっても、彼は自己責任として納得するでしょうが、東京でその結果が出たら、どうでしょう?
かなり長い期間、息子さんはそれを、親のせいにするかもしれません(もちろん「東京で合格」もありですが)。ここは結果を云々するより、今後ご長男が主体的に勉強し、何事にも責任をもって進路を選択していく家庭教育の一環として、私ならご長男の希望を聞き入れたいと思います。
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