さらに、JFEスチールの海外留学制度を活用し、高見さんは2015年10月までの1年5カ月間、南カリフォルニア大学で国際公共政策やビジネスについて学びました。
「グローバル化が進むにつれ、輸出相手国の通商政策により営業活動が影響を受けることも多くなっています。そういった仕事に就く世界各国の方とも人脈を築きたいと思いました。日本国内でそれは難しく、これこそ留学の醍醐味だと考えました」(高見さん)
帰国後は現職へ戻り、現在は中南米を担当。薄板の販売やそれに伴う物流コストの削減、新規パートナーの獲得といった業務を担っています。高見さんは「これまで理想的なキャリアパスを描けていると思います。入社以来、薄板に関わってきたので、今後は厚板やパイプなど違う品種に携わったり、戦略立案や海外駐在をしたりなど、仕事の幅をもう一段広げていきたい」と、意欲を燃やしています。
今の部署には同じく文系出身の後輩女性社員もいて、「良きお手本」になっているようです。高見さんのようなキャリアモデルが現れたことも、女性の応募増加にひと役買っているのかもしれません。また、若手文系女性社員も海外駐在しており、女性社員の配置もグローバル化しています。
最後に、高見さんからアドバイスをいただきました。「文系と理系にはそれぞれ長所や役割があり、分担しながらビジネスを加速させていきます。顧客との関係づくりや販売の仕組みづくりと、良い製品が組み合わさることで、仕事はうまくいくのです。メーカーにこそ多彩なバックグラウンドをもつ人材が必要とされています」。
文系採用の多いキングジム
事務用ファイルで国内首位を誇り、ラベルライター「テプラ」やデジタルメモ「ポメラ」など、ユニークな商品で知られるのが、文具メーカーのキングジム。商品の開発に携わるのは専門知識や技術に長けた理系集団と思われがちですが、実情は異なります。
「2015年度は10名の新卒を採用しましたが、理系出身者は2名でほとんどは文系出身者。開発本部は総勢40名ですが、文・理の割合は半々です」と話すのは、人事総務部の岡本雄也さん。同社では文・理の枠を定めず、広く人材を採用しており、文系の占める社員割合が多いようです。
「配属部署も採用段階では決めず、面接や入社研修などを経て適性を見極め、欠員のある部署に割り振っていきます。人事ローテーションは10年で2~3職種というのが平均です」(岡本さん)
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