子連れで実家入り浸りの妻と離婚できますか 「結婚」のシステムを否定する行為といえる?
夫婦生活でネックになりがちなのは、義両親との関係ですが、時には実の両親との関係が、夫婦関係悪化の引き金になることがあります。特に妻が実家の両親と仲が良すぎて、べったりになる「実家依存症」の場合、注意が必要かもしれません。
ネットの掲示板「Yahoo!知恵袋」には、こんな事例が紹介されていました。その事例は、結婚して1年、子どもが1人いて、妻が専業主婦。妻は母親と仲が良く、結婚直後から、週に2、3回は泊まりがけで実家に帰っていたそうです。さらに、出産の際は、産前・産後で4カ月実家に帰っていました。さらにその後も、子どもを連れて、何かと実家に帰っています。
夫は「最近は妻の背後に妻親の顔が浮かんで見るのも嫌気がさしてきます。離婚も頭をよぎります」「実家依存で夫の食事もないがしろでは給料をすべて預けるのもバカバカしくなります」と思いつめていました。
結婚相手の実家依存は、価値観の違い?
弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、こんな質問が寄せられました。
「相手の実家依存症で困っている方は多数いると思いますが、なかなか世間に知られていないようです。家裁では『価値観の違い』で片付けるところもあるようです。『結婚』というシステムをも否定する行為を何とかする方法はないのでしょうか?」
「実家依存症」は最近注目されているキーワードですが、妻の実家依存があまりにひどい場合、どう解決すればいいのでしょうか。また、もし離婚しようと思ったら、実家依存が離婚の理由になるのでしょうか。坂野真一弁護士に聞きました。
A. 夫婦には同居、協力扶助義務があります
夫婦にはお互いに同居、協力扶助義務があります(民法752条)。ですから、夫婦間、場合によっては、妻の両親を交えて、話し合いで解決すべき問題だと言えるでしょう。
双方育ってきた環境が異なるわけですから、双方が普通と考える常識も価値観も当然違うことがあります。結婚とは、そのような双方の違いを、双方が歩み寄りながら溝を埋めて、そのうえで夫婦共通の価値観を育んでいく作業を含んでいるものだと考えるべきです。