「男は仕事、女は家庭も」時代、離婚は加速する なぜ女の「爆発」は40代半ばにやってくるのか
結婚してから数十年。平和な家庭を築いてきたはずだった。なのに、ある日突然、配偶者から「離婚したい」と切り出されてしまう――。そんな「熟年離婚」は、もはや珍しいものではなくなったが、既婚者にすれば誰しも「他人事」で片付けられない危機感があるのではないだろうか。
せっかく長年連れ添ってきた夫婦がなぜ「熟年離婚」に至ってしまうのか。離婚案件を数多く手がけてきた広瀬めぐみ弁護士にたずねると、「いわゆる『男は仕事、女は家庭』という既存の価値観に抑圧されていた女性の我慢が限界を超える時が来るから」と明快な答えがかえってきた。
一体なぜ、女性たちは最後の最後で、反撃に出るのか。熟年離婚の実情を広瀬めぐみ弁護士に聞いた。
社会的、経済的に同等の立場なのに……
数年前、広瀬弁護士の元を訪れた40代半ばの女性は「こんな人生は、私のものじゃない」として離婚を望んだという。
話を聞いていくと、夫は「男は仕事、女は家庭」という従来の固定的役割分担の価値観の持ち主であり、共働きにも関わらず家事・育児の全てを妻に押しつけているという。
気に入らないことがあれば妻を暴力で威嚇したり、無視したりというモラハラを繰り返す男性であることがわかった。夫との愛情のない生活で疲弊した妻には、すでに他の男性の存在もあった。
広瀬弁護士は「熟年離婚を類型化するのは難しいですが、離婚を望む女性の話を聞くと、『男は仕事、女は家庭』という意識が強い夫に対する長年の不満を感じることが多いですね」と語る。
最近では共働きのケースも多く、社会的にも経済的にも同等の立場にある妻が、家庭内での一方的な家事・育児負担に嫌気がさし、離婚に至ることも多いという。『男は仕事のみ、女は家庭も』という新しいスタンダードに女性が我慢ならなくなっているという側面がある。