もしかして乳がん!? あなたの不安に答えます。 吉本賢隆著 ~乳がんについて幅広い観点から科学的にわかりやすく記述
癌研究会附属病院などで乳腺外科医として活躍してきた医師が、乳がんについてさまざまな角度から最新の科学的知識を織り交ぜながら解説した書である。
がんとは何か、に始まり、その診断、治療、治療後の予防などについて体系的に述べられている。高度な医学、科学的内容を含んでいるにもかかわらず、平易な説明により、科学、医学の知識がなくても容易に理解できる。また、医師としての経験が公平に生かされ、特定の医学的考えの押しつけがなく、安心感をもって読み進むことができる。
日本人女性の15人にひとりが乳がんになるというが、本書を読むと、がんをあなどらず、しかし、必要以上に恐れないことが、がんに勝つ秘訣であることがわかる。さらに、乳がんについて、客観的に科学的に、そして多面的に理解することが重要であるという。
診断の根拠、治療や再建手術、術後の予防についての選択肢と、それぞれの長所、短所、選択の際の根拠を理解していれば、実際に乳がんにかかったとき、その治療方針について納得し、安心して取り組める。
本書は、乳がん患者とその家族のみならず、現在は乳がんにはかかっていない女性にもすすめられるが、われわれ研究者の立場でも乳がんについてまとまった知識を得るのに好適の書である。広く、しかし、詳しく体系的に述べられているので、手許に置いて辞書的に利用することもできる。
よしもと・まさたか
よしもとブレストクリニック院長。医学博士。1948年広島県生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院、癌研究会附属病院を経て、国際医療福祉大学教授・同大学三田病院乳腺センター長を歴任。専攻は乳腺外科で、乳房温存手術の普及に尽力。
平凡社 1680円
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