一方、北海道新幹線は、東京駅・新函館北斗駅間を最速4時間2分で結ぶ予定だ(2015 年12月現在)。これは航空機との代替が起こるとされる4時間ぎりぎりのところである。そのうえ、函館中心部を目指すには新函館北斗駅で乗り換えた後、約20分かけて函館駅に向かうことになる。函館空港が市内中心部から抜群のアクセスのよさを誇っていたことを考え合わせると、現状では東京圏の住民の多くにとって、航空機の所要時間(空路だけなら約1時間半)のほうが北海道新幹線よりかなり短い。そのため、北陸新幹線ほどは、航空機からの利用切り替えが進まないだろう。
北海道新幹線の詳しい運行スケジュールはまだ発表されていないが、東京駅行きの新函館北斗駅発終電はそれほど夜遅くには設定できないはずだ。出張族は現行の空路の最終便と比較して遅くまで函館中心部にいるのは難しく、北海道新幹線での出張における「出張後の一杯」の楽しみは、北陸新幹線ほど期待できないであろう。
開業2年目以降こそ観光での勝負所
北陸新幹線は開業後すぐに大きな観光ブームをもたらしたわけだが、これまでの新幹線開業の経験から、このような観光効果が今後も続くとは思えない。特に著名観光施設やイベントほど、その傾向が強い。
たとえば「青森ねぶた祭り」は、八戸駅と新青森駅への2度の東北新幹線の延伸で注目されて、観光客数がやや伸びたものの、その後は漸減基調をたどっている。新幹線開業時はメディアなどを通じて大々的に宣伝されることもあり、著名観光施設やイベントに一度は行ってみたいという観光ニーズを満たすには、新幹線は十分効果的だ。しかし訪問客の多くは、容易にはリピーターになってくれないので、観光効果は長続きしないのであろう。北陸新幹線のように開業年から大きな観光特需があるに越したことはないが、開業時の観光特需の大小にかかわらず、観光での勝負はブームが落ち着いてからとなる。
以上を踏まえて、2016年3月の北海道新幹線開業について、航空機とのコラボを通じた周遊型観光の振興、潜在的な観光資源の活用の2点を提案したい。
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