アップルが子どもIT教育に力を入れるワケ 店舗を活用してプログラミングを指導

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アップルは2014年の開発者会議で、iPhoneやiPad、Mac向けにアプリケーションを開発するための新しい言語「Swift」を披露した。わかりやすさを重視しながら、スピードやスケーラビリティも備える。アップルは12月3日、Swiftをオープンソースとし、情報提供を目的としたウェブサイト「Swift.org」を立ち上げた。

これにより、LinuxなどのApple以外の環境でもSwiftでのプログラミングを行うことができるようになるほか、開発者がほかの環境で動作するよう移植することも可能になる。これまでアプリ審査やデバイスの自由度の少なさなど、閉鎖的とも取られていたアップルは、開発環境の面ではオープン化への門戸を開いた。

フェデリギ氏は「教育現場でのSwiftの活用も、オープンソース化のゴールの1つ」と指摘した。また、Swiftを使ったプログラミングの授業のメリットについても次のように説明をした。

「Hour of Codeでも利用するブロック型のプログラミング言語は、初歩としてはすばらしいアプローチだ。その次にSwiftを学ぶことは、完璧なステップと言えます。Swiftは簡単に書くことができ、問題点を見つけやすく、スケーラビリティにも優れています。子どもたちがいち早くプロユースのプログラミング言語に触れる機会を与えることができるでしょう」

アップルにとって、次世代の開発者が、アップルのプラットホームでプログラミングを学ぶことは、非常に大きなメリットがある。

同社のデバイスの魅力は、その優れたデザインとともに、充実する機能性・デザイン性の高いアプリによって作り出されているからだ。既にアプリは製品の競争力の重要な要素となっており、優れた開発者を育てることは、アップルにとって、自然な投資とも言える。

アップルはSwiftをオープンソース化して活用範囲を拡げている。また、Apple Watch、Apple TVといったアプリが動作する新製品を追加し、開発者の創造性を実現する手段も増やしている最中だ。

アップルとともに、学んで欲しい

また、iPhoneやiPod touchで自分のプログラムが動くことも、子どもたちのプログラミングへのモチベーションを大いに高めるとフェデリキ氏は強調した。

「子どもたちが、自分が作ったアプリを、学校で人気のあるデバイスであるiPod touchに入れて、友人に見せびらかしたらどうでしょうか。1つでも『すごい』という反応が得られれば、その瞬間にとてつもない達成感が押し寄せてくるでしょう。自分のデバイスの中で動くアプリを作ることは、好奇心を高め、よりプログラミングに熱中することにつながるはずです」

アップルは、コンピュータを学校に持ち込み、教育の中で活用するという先見性を示した。フェデリギ氏は「現在でもその精神を引き継いでおり、iPadは教科書だけでなく、よりインタラクティブな学びが得られる機会を与えられるようになった」と指摘する。プログラミング教育の支援は、その次のステップへと押し上げる活動と位置づけられる。

フェデリギ氏は最後に、次のように語った。「我々がアップルで働いている理由は、アップルの技術が好きだから。そうした人が増えるよう学校での学びを助け、次世代のプログラマーを育成することで、より良い未来の生活がもたらされると信じている」。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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