アップルが子どもIT教育に力を入れるワケ 店舗を活用してプログラミングを指導

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「私が初めてコンピュータに触れたのは10歳の時。Apple IIに触れて、非常に小さなアイディアをプログラミングし動作させたことを強く覚えています。その後、プログラミングのアイディアや実現できることを、親に話し始めたら止まらなくなり、ついにはコンピュータを手に入れて熱中しました」(フェデリギ氏)

その後、カリフォルニア大学バークレー校へ進学してコンピュータサイエンスの修士号を取得。アップルを離れNeXT社を起こしていたスティーブ・ジョブズ氏の元で企業向けのソフトウェア開発に従事していたが、1996年にNeXTを買収したアップルに合流。一度アップルを離れるが、再びアップルに戻る。現在はソフトウェア開発のトップとして、コンセンサスを重視する経営管理を行っている。

同氏は自分の20年ほどのキャリアを振り返り「10歳の時のコンピュータとの出会い、プログラミングへの強烈な興味がきっかけだった」と語る。深くのめり込むきっかけをいかに多くの子どもたちにも提供するか。これが、アップルがHour of Codeに取り組む理由だった。

アップルストアでHour of Codeイベントを開催

Hour of Codeイベント

Hour of Codeは、米国のプログラミング教育推進団体である「Code.org」が提唱する1時間のプログラミングの授業だ。プログラミングを体験する子どもたちを増やすことを目的としており、世界中の教育機関や有志が参加できる。

フェデリギ氏によると、アップルは2013年から米国のアップルストアで、Hour of Code活動に参加しており、2015年は日本を含む世界の55の店舗で、400ものワークショップを開催するという。子どもたちは、iPadを用いて、Code.orgが用意したブラウザで動作するブロック型のプログラミング言語「Scratch」で、コンピュータを操る基礎を学ぶ。

「アップルストアを、コンピュータやプログラミングに初めて出会う、象徴的な場所にしたいと考えています。すべてのアップルストアにはプログラミングにも精通するエキスパートを含む、テクノロジーに情熱を持っている素晴らしい人々が働いています。その点で、Hour of Code以降の興味を叶える場としても、アップルストアは大きなアドバンテージを備えています」とフェデリギ氏は言い切る。

また、同社の小売・オンラインストア担当上級副社長アンジェラ・アーレンツ氏も、次のようなコメントを寄せた。「Hour of Codeワークショップは、アップルストアで非常に人気があり、若者の人生を豊かにする機会として大切にしています。また子どもたちの成長と学びによって、コミュニティも強化されます。アップルストアにおいて、我々の製品と、非常に優れたスタッフを活用した次世代の教育とインスピレーションの提供以上の、クリスマスプレゼントは考えられません」。

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