――たとえば、母親が書いてもいいんですか?
趙:もちろんです。お父さんの人もいますし、奥さまが書いてくれたり。
篠田:現職の上司という人もいました。転職する希望があることを上司と話し合えている、ということですよね。
推薦状は、採用判断の大切な要素
趙:推薦状は、採用判断の大切な要素になっています。自分で書いているものより、もっとその人の奥行きが見えてきます。実際に採用した社員の話ですが、結婚して長くて、お子さまもいる社員の奥さまが推薦状を書いてくれて入社したのですが、奥さまが旦那さんのことを「ありのまま」に書いているんですよね。
「あまり片づけられないし」とか「うちの旦那、ホントにもう靴下出しっ放しで……」的な話が。ともすれば、推薦とは真逆の下げた文章に見えるのですが、奥様の文章からは、長年連れ添ったご夫婦によくある、健全でフラットな視点を感じて、とてもいい印象を持ちました。
加えて最後に、「ずっと主人が読んでいるほぼ日に応募したいと思ったのを、私は応援したいと思いました」という一文が書いてありました。その人が地方在住で小学校のお子さんがいたため、転勤してもらってまで来ていただいて大丈夫か、ご家族に負担がかからないか、結構みんなで話し合いをしましたが、最終的に奥さんの推薦状が決め手になりました。
篠田:応募する方も、1人で熱情に駆られて応募するだけでなく、誰かに「自分は応募したいんだ」という話をして、推薦状をお願いしないといけないのですよね。ここが応募される方にとって、大事なプロセスになっているのではないかと思います。もし、大切な家族や友人を説得できなかったから、その応募の動機ってちょっとあやふやだったかもしれない、などと自覚できるのではないでしょうか。不採用をお知らせするメールをお出ししたときには、「推薦状を書いてくれた友人に、改めて感謝しました」とか「家族とこの話ができたことがよかった」などと返していただいたりすることもあって、私たちも感激します。
永田:特に奥さんが書く旦那さんの推薦文はいいですね。「この人のこういうところがいい」ということがビシッと書いてある。
趙:あと、お母さんが息子のことを書くときは必ず「優しい」って書いてあったりとか。彼女はラブレターになっちゃっている(笑)。
松本:兄弟はなかなかいいものがあります。弟がお兄ちゃんを推薦するとか。
――真似する会社が出てくるかもしれませんね。
趙:広まったらいいと思います。
篠田:ただ、この取組みは、こちらの読解力が問われます。私も他社に真似したいって言われたら、「どうぞどうぞ」って言いますが、正直、私たちは日々多くのお客様とコミュニケーションを取っているから、普通の人が書くものの本当の意図は何だろうとか、人柄や内容を読み取る力が平均的に高いチームだと思うんです。かつて私が勤めていた金融機関のように、形式張った職場では、あまり合わないかもしれません。この組織だからこそ、ワークしている仕組みであるとは思います。
趙:見る側の価値観が揃っているので、目線が合っているというのもありますね。
――一般企業の人事部だけでやってしまうと、ぶれてしまうかもしれないですね。それこそ好き嫌いになりかねない。
永田:「ほぼ日」で募集をすることが多いので、応募される方々も「ほぼ日」への価値観が揃っているようなところがありますね。
(後編へ続く)
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