――興味が先に来るというのはいいですね。何かの工夫はあるのですか?
趙:私は転職してこの会社に入ったのですが、最初にびっくりしたことがあります。会社で共有する情報というのは、一般的には部署ごとに下りてきたりしますよね。弊社では、待っているだけでは、誰も情報をくれません。私が会社に入ったばかりのときに、「どこに聞きにいったらよいのですか?」と質問したら、「メールにあるでしょう」と言われて、「自分で取りにいくのか」と思いました。このことが、興味を持つきっかけになったというか、そうしないと自分自身がついていけなくなると感じましたね。
篠田:興味の源は、私たちの事業がB to Cで、インターネットで直接お客様とやり取りをするところにあると思っています。もしリアルの店舗でしたら、店頭でお客様が入ってきたときに、お客様に興味を持たないと、仕事ができない、というのと一緒です。もうひとつの源は、無料のコンテンツであれ商品であれ、お客さんに喜ばれたい、ウケたいと思っていることです。読者の反応を、すごく見たいんですよね。
自分のコンテンツが公開されたときは、読者の反応を深く読み込むのではないでしょうか。そこを起点に、たとえば「自分のコンテンツ宛てのメールと、同じ日に出した○○さんのコンテンツへの反響は、どうしてこんなに違うの?」など、読者からの反応がすべて共有されているから自分なりに振り返りやすい。読者にも仲間にも見られていることを糧にして、次の面白いコンテンツ、喜んでいただけるものを作ろう、そういうドライブがかかる組織運営です。
もしかしたら乗組員は、自分は自然にお客様の反響に興味を持ったと思っているかもしれませんが、実は今お話ししたような環境、仕組みも作用しています。
――ほかにルールはありますか?
松本:何かに縛られたりするというよりも、とにかく自立が求められます。日常生活での暗黙のルールって、死ぬほどあるじゃないですか。会社に言われるからそういうルールに従うのではなく、会社でも暗黙のルールで守ってねという感じです。要するに、「ルールだから、これをやります」ということではなくて、「自分から守ろうよね」ということを、糸井に教育された気がします。信頼関係ってそういうところで生まれてくるよねって。
趙:私は、入社してきた人に就業規則の説明をするのですが、最初に「自分がアウトプットの出しやすい、自分が働きやすい形で働いてください」と伝えています。自己裁量・自己管理とは好き勝手ということではなく、周りがその働き方を認めて受け入れるところまで含むと考えています。どんな働き方が望ましいかは個々の仕事の内容ややり方によって異なるので、どんなアウトプットがあればいいか、そのために自分がどうありたいか、が問われていると思います。
入社には「推薦状」が必要
――御社の採用のページがとてもよく読まれているということを伺ったことがあります。何か面白い試みなどは、されていますか?
趙:採用ページそのもののことではないのですが……。「ほぼ日」上で採用を呼び掛けるときに応募書類を出してもらっているのですが、課題や提出書類と一緒に、必ずつけてもらっているのが「推薦状」です。今は、誰からでも書式は問いませんので、A4用紙1枚を書いてもらってください、としています。
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