東大を抜いた「学費・家賃タダ」の大学の正体

海外に出て気づく「日本の大学の未来は暗い」

同校では世の中にある問題をテーマにしたプロジェクトが全生徒に課される。在学する1年を通じ、コンサルタントのような形でかかわる。私たちに課されたのは「ガンジス川の公害を解決しろ」だった。ガンジス川は汚染が深刻だ。インドだけで解決できればいいのだが、上流にはネパールやブータン、下流にはバングラデシュがある。上流が水を汚せば、下流の他国に被害が及ぶ。

日本の大学ではありえない、インド研修

インドに研修に訪れた学生たち

昨年12月に首都のデリー、ヒンズー教の聖地で有名なバラナシを全同級生で訪れた。学生の現地視察、インド、ガンジス川と聞けば、どんな旅行が思い浮かぶだろうか。汚い安宿の共同部屋に雑魚寝し、夜行列車で移動する……同級生の女性を中心に、旅立つ前はそういった心配ばかりをしていた。

だが実際はビジネスマン御用達の四つ星ホテルに、エア・インディアでの快適な旅。しかも自由時間には世界遺産への観光までついてくる。世界銀行やインド政府の高官、NGOの担当者などとの会合や議論の場も毎日設けられ、学びも豊富だった。

すべての旅程を学校側が手配し、参加者の学生はまるで修学旅行のような気楽さ。地元に詳しいインドの同級生と、夜な夜な飲みに出かけ、仲が深まり、彼らの素顔にも触れられた。しかも全行程タダ。労力、おカネ、調整など、日本の大学はここまで手間をかける余裕があるだろうか。

生徒の多様性も日本の大学にはない特長だった。ここでみなさんに質問してみたい。私が所属した修士課程の同級生59人のうち、何人がシンガポール人だっただろうか?

シンガポールの地元の大学院なので、大半はシンガポール人というのがおおかたの予想だろう。私も進学する前はそう思っていた。だが、たったの11人しかいなかった。

ほかの学生はというと多い順に、ASEAN15、中国9、インド8など。珍しい国ではブータン、アフガニスタン、カザフスタンなどがいた。59人のうちアジア以外は米英などの5人のみ。今後の成長市場であるアジアを中心に生徒を集めている。

おかげで中国やベトナムの共産党員、幸福な国で有名なブータン国王の秘書、フィリピン・ミンダナオ島で反政府勢力との内戦に何年も従事した軍人、という珍しい友人まで作ることができた。学校が各国におもむき説明会を開くなど、アジア全域からの募集に力をいれ、多くの学びを生徒が得られるようにと努めている結果だ。

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