利用者数4億人、グリーが中国で手を結ぶ中国有数のネット企業・騰訊(Tencent)の実態

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QQは、騰訊がリリース当時は「OICQ」という名前だった。つまり、インスタントメッセンジャーの草分け「ICQ」をデザインから機能まで“インスパイア”したソフトである。2000年代前半のOICQからQQの初期の頃にかけての中国パソコン普及黎明期には、「Windows向けゲーム(海賊版だけど)」「音楽(これも海賊版)」そして「QQ」が、普及を牽引するキラーコンテンツ、キラーサービスとなっていた。
 
 Linux版は公式で出ることはなかったが、一方で最近Mac版、iPad版、iPhone版、Android版などが続々と出てきて、Macユーザーやスマートフォンユーザーの歓迎を受けている。QQのリリースが、パソコン以外のプラットフォームの普及も促しているのだ。

チャットソフト「QQ」は、今なお、ネット生活に必須なツールであることには変わりなく、口コミで伝わっては利用者を増やし続けている。直近の騰訊の四半期(2012年1~3月期)決算でのデータでは、アクティブユーザーが7億5190万アカウント、最大同時オンライン数が1億6740万アカウントと、膨大な人口を実感させる数字となっている。

インターネットユーザー数が5億3000万で、その8割がチャットを利用しているとのことなので、7億超のアカウント数ということは、1人がプライベート用や仕事用などでアカウントを使い分けるのが当たり前になっているわけだ(筆者の周囲にもそうした人はいる)。
 
 企業やオンラインショップがサポート対応のQQアカウントを公開し、チャットでサポート対応するのもまた当たり前だ。

中国の人気サイトは、概して「最初は露骨な外国サイトの模倣」でスタートし、「時間をかけて独自機能を付加」する傾向がある。微博も当初はtwitterのパクリだったが、次々と機能が追加され、現時点では別物といえるサービスとなったし、検索の百度(Baidu)とて、googleの模倣にとどまらず、googleにはない中国向けサービスをリリースしているほか、サーバーに真っ先にSSD(半導体ストレージ)を採用するなど先進的な取り組みも行っている。QQも毎年2~3回バージョンアップするが、そのたびに新しいスキンや、機能が追加されている。

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