月刊誌を休止、「DRESS」編集長の"告白"

新たに始まる「欲望」を探す旅

あるラグジュアリークライアントのPRマネジャーが言っていた。
「雑誌で育った私たちの世代でさえ、今は紙の雑誌に広告を出すことに魅力は感じていない。本国からもウェブの予算を取れと催促されている」

では、これから『DRESS』はどうするのか?

そんな雑誌の時代が終わりかけた2013年4月に創刊された『DRESS』だが、来年からは月刊ペースではないカタチで継続することになった。創刊当時から「雑誌の先のビジネスを起こす」ことを目的にした出版ベンチャーとして始まったプロジェクトだったが、来年からはその「先のビジネス」に注力していく。

具体的には、メディアの主体はウェブに移すと同時に、紙の『DRESS』は季刊ベースで発行して行く。そしてコミュニティの運営に力を入れる。コミュニティとは「DRESS部活」という読者が企画・運営するユニークな組織で、現在23部活に2万人近いアラフォーの女性たちが集っている。

このコミュニティに対して、今後、クラウドファンディングの仕組み「DRESSファンド(仮称)」や、誰でもお店を開ける「DRESSマーケット」というウェブのサービスを次々に立ち上げていき、人もモノもおカネも動くような、統合型のコミュニティマーケットを作っていきたい。

だからヴォーグのような広告に依存するウェブにはならない。雑誌のコンテンツの延長をウェブで提供するモデルでもない。

そういう意味では、まだどこのメディアも取り組んでいない、先進的なビジネスになる、はずである。

『DRESS』が紙からウェブとコミュニティに足場を移すと同時に、業務の主体も僕が作ったgiftという会社から、親会社に移管することになった。giftは2013年9月の創業メンバーがとてもきらびやかだったので、記憶に残っている人もいるかもしれない。しかし、giftはなくなる。こう書くととても重く感じるが、giftの目指したことはステージを変えて継続されるので、その意味で明るい気持ちもある。まだこの先の『DRESS』が目指す現場に立ち会える楽しみもある。

3年前に光文社を辞めて以来、ずっと「自分の力」が試されるような日々だった。会社という後ろ盾を失っても「自分の力」でやっていけるのか、サラリーマンになった頃からつねに自分に問いかけていた。でも結局、26年間も会社勤めを続けることになった。それは「自分の力」を蓄えるための助走期間だったのだと思う。その助走期間は人それぞれで、たまたま僕の場合は26年間もかかったということだ。

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