プレイボーイ誌がヌードを「捨てる」ワケ 男性誌が肌の露出を控えて得るものとは
9月、米プレイボーイ誌の編集幹部コーリー・ジョーンズは、同誌の創刊者であるヒュー・ヘフナーに会いに「プレイボーイ・マンション」と呼ばれるその邸宅に赴いた。
ピカソやクーニングの作品が飾られたヘフナー邸のダイニングルームで、ジョーンズは緊張の面持ちで大胆な提案をした。プレイボーイと言えばアメリカにおいて、性を人目を忍ぶものから開けっぴろげなものへと変えた先駆的存在だというのに、女性のヌード写真の掲載をやめようというのだ。
新提案を創刊者ヘフナーも了承
89歳と高齢ながら現在も編集主幹に名を連ねるヘフナーは、ジョーンズの案に同意した。プレイボーイは来年3月の誌面リニューアルの一環として、フルヌード写真の掲載をやめる。ただし挑発的なポーズの女性の写真の掲載は続けるという。
プレイボーイを発行しているプレイボーイ・エンタープライゼズ社の幹部は、自らが先駆けてきたはずの時代の変化に同誌が追い抜かれてしまったことを認めている。「今ではクリックひとつで想像の及ぶあらゆる性行為がタダで見られる。そんな時代に(ヌード写真は)時代遅れだ」と、スコット・フランダース最高経営責任者(CEO)は言う。
ある世代のアメリカ人男性にとって、プレイボーイを読むこと(つまり懐中電灯の下でよこしまなスリルを味わうこと)は文化的な通過儀礼のようなものだった。だが現代では、ティーンエージャーの男子はみんな携帯電話でインターネットを利用できる。ポルノ雑誌がもっていた衝撃を与える力や商業的な価値、文化的な存在意義は、それがプレイボーイのような有名誌であっても、もはや失われてしまっている。