『ライ麦畑でつかまえて』『モンテ・クリスト伯』東大生が夢中になって読んだ人気名作文学3選

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2. 『ライ麦畑でつかまえて』
キャッチャー・イン・ザ・ライ
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

J・D・サリンジャーの青春小説で、主人公は16歳の少年ホールデン・コールフィールドです。学校を退学になった彼が数日間さまよいながら、大人の社会への嫌悪や、自分自身の孤独、不安、純粋さへの憧れを語っていく物語です。

ホールデンは、とにかく社会に対する不満を抱えています。世界は欺瞞に満ちていて、大人たちはどこか信用できない。理不尽なことばかりで、みんな偽物に見える。こうした感覚には、思春期特有の鋭さがあります。けれど、読者はそれを単なる子どもっぽさとして切り捨てることができません。なぜなら、私たち自身も一度は似た感情を抱いたことがあるからですし、大人になった今でも、どこかで共感してしまう部分があるからです。

一方で、ホールデン自身が完全に立派な少年かというと、そうでもありません。少し格好をつけたり、他人からどう見られるかを気にしたり、自意識の強さをこじらせていたりする。いわゆる「中二病」と呼びたくなるような危うさもあります。だからこそ彼はリアルです。正しい人間だから共感できるのではなく、未熟で、面倒で、それでも切実だからこそ心に残ります。

作中で彼は、「ライ麦畑で子どもたちを崖から落ちないように守る存在になりたい」という幻想めいた願いを語ります。現実にはそんな仕事はありません。けれど、無垢なものを守りたい、壊れたくない、壊したくない、という気持ちは、誰の中にもあるのではないでしょうか。

この作品が長く読み継がれているのは、青春の青さや痛さを笑いものにせず、そのまま文学にしているからです。東大生のように、頭で考える力が強い人ほど、ホールデンの未熟さと本気さの両方に惹かれるのかもしれません。

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