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〈ドキュメント〉KDDI子会社で起きた「巨額架空取引」の一部始終 "たった2人の社員"が作り上げた不正が破綻を迎える日まで

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3月31日の記者会見で陳謝したKDDIの松田浩路社長(左)(撮影:梅谷秀司)
KDDI傘下のビッグローブと、その子会社・ジー・プランの広告代理事業で起きた巨額の架空取引。この問題をめぐり、KDDIの特別調査委員会は3月末、調査報告書を公表した。過去の同事業における売上高のうち99.7%に実態がなかったことが判明し、業績の過大計上に伴う影響額は25年度までの合計で売上高2461億円、営業利益499億円だった。さらに、手数料名目で外部流出した資金は329億円に上る。
経営責任を取り、子会社2社は社長を含めた経営幹部を刷新。KDDI本体も会長や社長らが役員報酬の一部自主返納を決めた。7年に及ぶ架空取引の現場で何が起きていたのか、親会社のグループガバナンスの在り方にどんな課題があったのか。報告書などを読み解き、2回に分けて検証する。
1回目の本記事では、不正を手がけた当事者の視点から、7年の間に現場で何が起きていたかをドキュメント形式で再現する。(注・記事中に登場する氏名や会社名を示すアルファベット表記は調査報告書に倣う)

年の瀬の会議での突然の告白

年の瀬を迎えた昨年12月15日、KDDIの孫会社であるジー・プランと大口発注元のC社との間で、ある重要な会議が開かれていた。この日は広告代理事業における支払い日。本来ならば届いているはずの824億円のうち、107億円もの入金が滞る事態が起きていた。

同事業は、ネット広告の出稿主とウェブ掲載媒体をつなぐ商流に入って広告枠を仲介するビジネスで、直接の親会社であるビッグローブも関与していた。ジー・プランでは、全社売り上げの約9割を占めるまでに急拡大していた主力事業だ。しかしこの会議の場において、同事業を立ち上げ当初から牽引してきたソリューション営業ビジネス部長(当時)のa氏が重大な事実を打ち明け、状況を一変させることになる。

広告代理事業は架空の循環取引だった――。

同席していた社長(当時)を前にした、突然の告白だった。同事業をめぐっては、リスク管理の観点から発注を抑えるように、KDDIがビッグローブに対して直前の段階で指示を出していた。未入金の発生は、取引の抑制で資金循環が減少したことが原因だったのだ。

a氏の証言を契機に、事態は急速に動き始める。同月下旬には、ジー・プランとビッグローブは不正な取引に関与した疑いのある会社との取引はすべて停止。そして年が明けた1月14日、親会社のKDDIは外部弁護士らで構成する特別調査委員会を設置した。

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