中国にはネット経由で宅配など単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」が2億人いるといわれる。経済停滞が長引く中で若者が定職に就くのが難しくなった結果だ。雇用統計の外で急拡大しており、身分も収入も不安定なギグワーカーの増加は大きな社会問題となっている。
春節(旧正月)直前の2月10日には、習近平国家主席が北京市内の宅配会社で働く3人の若者と面会し、「新たな就業層に対して共産党と政府は良質なサービスを提供しなければならない」との指示を出した。3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を経て、中国ではギグワーカーの権利保護策が次々と打ち出されている。
製造業より時給が高く拘束時間も短いという理由で人気を集めた時期もあったが、過当競争で問題が噴出。現在は、製造業での雇用が伸びないことがギグワーカー増加の根本原因である。それが家計の先行き不安を高め、消費の足かせとなってきた。
無人工場の普及が加速
3月に公表された中国の第15次5カ年計画の要綱では、「新しい質の生産力(新質生産力)」の強化が打ち出された。人口減少に伴う労働力不足を克服し、強靭なサプライチェーンを構築するための取り組みだ。人工知能(AI)やロボットの活用により、労働集約型の製造業を人手に頼らない生産体制に転換していくという。
具体的には、深刻な人手不足のもとでもサプライチェーンを途切れさせない仕組みとして無人工場の普及が加速されている。無人ゆえに工場内に照明がいらないことから、「黒灯工場」と称される。
習近平政権は高い技術力とブランド力を持つ「製造強国」を目指している。人口減のもとで製造業の競争力を保つための方策だ。中国では2014年から生産年齢人口が減少に転じており、22年には総人口も減り始めた。そのため労働力不足の克服は、経済政策上の大きな課題であり続けてきた。製造強国という概念は、低廉で豊富な労働力に頼った「製造大国」路線からの脱却と質的な転換を目指すものだ。



















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