NVIDIA GTCで見えた次世代産業インフラの現在地/「AIが自ら考え、動く」時代に日本企業に求められる事業構造と意識改革
「SaaS(Software as a Service)」から「AaaS(Agentic as a Service)」へ――。日米の企業におけるデータ活用に関わる筆者が昨年7月にレポートしたデータ基盤のスタートアップ・DatabricksとSnowflakeのサミットでは、「データ分析の民主化(エージェント化)」がトレンドになっていた。しかし、3月16~19日に開催された「NVIDIA GTC 2026」では、その対象領域が三次元の物理世界をもリアルタイムで動かす段階へ進化していることが示された。
日本企業はレガシーシステムの老朽化、少子高齢化による労働力不足、そして資本市場からのDX(デジタルトランスフォーメーション)要請といった外部環境にさらされている。しかし、日本企業がデータの利活用やSaaSによる効率化を進めている間に、シリコンバレーではその前提を覆す変化が起きている。
もはやAIはツールではなく、自律的な労働力(エージェント)となっている。本稿では、この変化がGTCの現場でどのような技術として提示されていたのか、そして日本企業がどのように向き合うべきかを、現地での観察をもとに読み解く。
「人類史上最大のインフラ構築が進んでいる」
熱気に包まれた基調講演で、ジェンスン・フアンCEOは「コンピューティングがこれまでの検索型から生成型へと変わったことによって、人類史上最大のインフラ構築が進んでいる」と語った。
これまでのソフトウェアは、人間が事前に記述した命令に従い、表形式の整理された構造化データから決められた答えを「検索」するだけのものだった。しかし現在のAIは、テキストや画像、動画といった構造化されていない情報を理解し、ユーザーが直面している「文脈や意図」を読み取ることができる。
この非構造化データを理解し、アウトプットを生成するためには、莫大な計算能力が要求され、データの保存や検索を主目的としてきた従来のITインフラでは到底対応できない。フアンCEOはこの莫大な計算を支え、オンデマンドの知能を生成するための新たな計算基盤を「5層のケーキ(5-Layer Cake)」に例えて説明した。




















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