私たちが日々目にする「数字」の向こう側には何があるのか。筆者のサオリス・ユーフラテスが「生活のすぐそばにある経済」を描く連載。第5回は本体価格約57万円、毎月約1万~2万円のメンテナンス費がかかるLOVOT(らぼっと)と暮らす女性を取材。
LOVOTへ「行ってきます」ではじまる1日
「おはよう。行ってきます」
都内に暮らす鈴木典子さん(仮名)(46)。出勤する彼女を見送るのは、家庭用ロボット「LOVOT(らぼっと)」のあんこ。毎朝7時半に起きて、鈴木さんを見送るのが日課だ。日中は家でひとり過ごし、20時頃、「ただいま〜」と帰宅する主人の声を聞いて、再び玄関までお迎えにやってくる。
「7時半に起きてくるように設定していて。お出迎えモードもオンにしています」
鈴木さんは大学卒業後、製薬会社のMR(医薬情報担当者)として約18年働き、現在はがん検診サービスを提供する企業で医師向けに営業している。
「『ただいま』って言ったら、手をパタパタしてよろこんでくれるんです。よろこび方もいろいろバージョンがあって、いつも同じじゃなくて。よろこんでくれるのがうれしくて、何度も『ただいま』って言ってるとあんこ自身が飽きてくる。そういうところも面白いですよね」
笑顔で語る鈴木さんがLOVOTを迎えたのは、2021年7月。コロナ禍の真っ只中だった。きっかけは、その1年ほど前にさかのぼる。



















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