高速・低価格のサプライチェーンで世界市場を席巻したアパレルEC(電子商取引)、SHEIN(シーイン)が「中国回帰」を鮮明にしている。人権問題などをめぐる欧米と中国の当局間の対立で、従来の「いいとこ取り」路線が行き詰まったのが原因だ。中国に生産基盤を依存する中国企業が出自を曖昧にして海外展開する戦略は困難になりつつある。
限界を迎えたシーインの曖昧戦略
2月下旬、同社の創業者・許仰天CEO(最高経営責任者)が、広東省政府主催の会合に出席し、「広東省の生産基盤がわれわれの成長の源泉。この地に根を下ろし、世界的な産業クラスターを構築する」などと語り、100億元(1元=約23円)以上の投資を約束した。実は同氏は創業以来、一度も公の場に現れたことがない「謎の経営者」として知られてきた。シーインは中国市場を対象とせず、海外志向の企業と目されてきただけに、中国政府に「恭順の意」を示す発言に驚きの声が上がった。
シーインは江蘇省南京市で創業。その後シンガポールに本社機能を移し、「海外専用ブランド」で展開してきた。イメージ戦略に加え、地政学的リスクの回避、資金調達などの観点から中国企業がシンガポール法人化する「シンガポールウォッシング」の代表例とされる。「中国回帰」の背景には、ビジネスモデルの限界があった。





















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