ホルムズ海峡の事実上の封鎖など中東情勢の緊迫化や、それを受けての原油価格上昇は、中国経済に新たな不確実性をもたらしている。中国は原油の7割を輸入に頼る世界最大の原油輸入国である。懸念が生じるのは当然だ。
中国のイランからの原油輸入は税関統計上ゼロだが、実際はマレーシアなどの第三国経由や海上での詰め替えで入り、中国の原油輸入の10〜15%を占めるとされる。しかも、イランが国連制裁を受けており、原油の売り手が限られるため、中国は市場価格対比10〜20%安く原油を購入してきたとされる。イランから安い原油を購入できないことは、中国にとってコスト増にはなる。もっとも、他国から市場価格で購入できるのであれば、原油調達コストの上昇は、1〜3%(10〜15%×10〜20%)にとどまり、影響は限定的だ。
原油高でGDPと物価への影響に懸念
むしろ中国にとって頭が痛いのは、世界的な原油価格の上昇だ。原油価格上昇は、交易条件の悪化、実質所得の低下、企業のコスト上昇などを通じて、中国のGDPを押し下げる。複数の推計に基づけば、10%の原油価格上昇は中国のGDPを0.1〜0.2ポイント押し下げる。原油価格は、米イラン軍事衝突前から5割程度上昇している。単純計算すれば、こうした状況が1年続けば、中国のGDPを年間0.5〜1ポイント押し下げることになる。
物価への影響も懸念される。複数の中国現地エコノミストの推計では10%の原油価格上昇は、生産者物価を0.4%、消費者物価を0.1%押し上げる。中国では生産者物価から消費者物価へのパススルーが大きくないため、消費者物価への影響はさほど深刻にならない。しかし企業にとってはコスト増による収益圧迫要因になる。また、中東航路を中心に国際海運料金全般の高騰が起きており、アメリカに次ぐ世界第2位の輸入大国である中国にとっては、これもコスト増要因となる。























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