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中国外交が「戦争の世界」を語り始めた真意。自国を平和、安定、正義だと位置づけたい中国に日本はどう対応すべきか

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王毅外相は中国を「世界の平和の力、安定の力、正義の力」と位置づけた(写真:Getty Images)

中国共産党による統治の特徴は、政策決定の独占だけでなく、時間の意味を再定義する権限の独占にもある。指導部は公式言説で「新時代」「百年に一度の大変局(百年未有之大変局)」といった概念を頻繁に用いる。これらの表現は、中国が現在どのような歴史的位置にあるかを定義し、政策選択の正しさを時間の枠組みに位置づける装置である。

3月12日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)は、法律や政策を審議する場というよりも、党が示す国家の時間秩序を社会に供給する年次的な政治イベントだ。

国際秩序を「戦争」を使って語り出した

6人の泰斗が中国の政治・経済・社会の実相に斬り込む。【木曜日更新】

その典型が五カ年計画である。未来を可視化し、社会に予期可能性を供給する統治装置だ。同様に、全人代期間中に行われる外交部長(外相)の記者会見も、外交政策の説明の場であると同時に、中国が現在の国際秩序をいかに理解しているかを提示する言説空間である。

今年の王毅外交部長は、現状の世界情勢を総括する際、「戦争」という言葉を用いて危機感を示した。「戦争衝突が世界の至る所で起きている(戦争衝突此起彼伏)」との表現は、中国外交の公式言説としては比較的踏み込んだ表現だ。

従来、「戦争」は過去の歴史や特定の紛争、あるいは比喩表現にとどまり、世界秩序そのものを説明する概念として用いられることは少なかった。しかし、2026年の「戦争衝突此起彼伏」は、現在の国際環境を特徴づける中心的な概念の1つとして「戦争」を前景化した。 従来の「変乱交織(変化と混乱が入り交じっている)」という抽象的な表現から一歩踏み込み、より軍事的な緊張が常態化した世界観を示した。これは中国外交の言説が新たな段階に入ったことを象徴している。

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