枝廣:そうですね。経営者がレジリエンスの高い企業にしたいというとき、社員のレジリエンス力を高めるだけでは、真にレジリエンスのある企業にはなりません。社員はレジリエンスの要素の1つです。お客様や、企業のビジョン、社風、地域などさまざまな要素で企業のレジリエンスが構成されているのですから、全体で変えていくこと、まさにシステム思考で考えることが大事ですね。
宇野:その通りだと思います。全体と個の両方に対するアプローチが不可欠です。
科学的根拠なき研修には要注意
枝廣:レジリエンス研修などは、宇野さんのまさにご専門だと思いますが、一般的に本当のレジリエンス研修とそうでない研修を見極めることは可能ですか。
宇野:レジリエンス研修やセミナー、あるいは一部の自己啓発書なども含まれるかもしれませんが、その内容の真偽を見極めるのは、一般のビジネスパーソンには極めて難しい場合がほとんどでしょう。まだまだレジリエンスが正しく知られていない中で、「レジリエンス」というカタカナ新語が目くらまし効果ともなって、そこでどんな研修がなされようと、受け手にはその真偽のほどは分かりません。これは、レジリエンスに対する社会的なリテラシーが高まるまでは致し方ないことかもしれません。
真偽を見極める1つの方法として、ペン・レジリエンシー・プログラムのような科学的な効果検証の徹底したレジリエンス・トレーニング法に触れてみることも有効かもしれません。それが、翻訳書で世に問うた理由でもあります。
枝廣:たしかに、そうですね、私も自戒しなくてはなりませんが、日本では科学的な効果検証の有無まで考えないで取り入れてしまうことがありますね。知り合いがよいと言っているからとか、海外ではやっているとかで安易に取り入れることが多いですから。インスタントなレジリエンス研修には注意が必要ですね。 (構成:一柳麻衣子)
※後編に続く
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