「レジリエンス」という言葉を聞いたことがある人も以前よりは増えたのではないでしょうか。ただ、日本で紹介されている、レジリエンス研修やセミナーなどの多くは、いざ、ふたを開けてみると従来のストレス・マネジメント研修に毛が生えた程度の代物だったりします。残念ながらレジリエンスについて表面的、断片的なとらえ方をしている場合が少なくないように見受けられます。
枝廣:研修以外でも経済界などでも使われるようになりましたね。では、なぜ今、レジリエンスという言葉が注目されるようになっているのか、私は2つの要因があると思っています。
外部衝撃が増え弱体化する私たち
まず1つはレジリエンスが必要な対象に対する、外部からの衝撃が大きくなっているということです。レジリエンスが必要な対象というのは、個人、企業のような組織だけでなく、自分たちの住んでいる地域、日本社会すべてが対象です。そういった対象がさらされる、いつ起こるか分からない外的な衝撃は、強まる一方です。リーマンショックのような金融危機や地球環境の温暖化、東日本豪雨のような鬼怒川の決壊……。いずれも未然に防ぎようのない衝撃ばかりです。
宇野:「国土強靭化計画」といった政策キャンペーンや首相の演説などにも頻繁にレジリエンスという言葉が登場するようになりましたね。
枝廣:そうですね。そしてもう1つ、レジリエンスが注目されている要因は、そういった外的な衝撃を受ける個人、組織、地域、社会など、それぞれの基盤が弱くなってきたということです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら