麺の感触は福岡のうどんにしては、歯ごたえがあり、博多うどんと讃岐うどんの間のような食感。もっちりした柔らかさに、豊かな弾力を併せ持つのが特徴だ。
スープは九州各地で水揚げされた鯖を使った鯖節が最大の特徴。「あごだし」を基本とする、福岡のうどんとは一線を画している。甘味と混ざり合い、塩味のカドが取れたまるみのある味わいの中で、鯖節の風味がキリッと際立つ。
そして、おなじみの白地にピンクの「資」文字が入った紅白のかまぼこ。東京にいるのに地元を感じる……福岡の日常と変わらない味が、両国にもあった。
一口食べると、東京にいるのに、福岡の自宅周辺の風景や家族の顔が浮かぶ。やらなきゃいけない仕事の連絡も思い出した。一歩も動いていないのに、非日常の東京から、現実の福岡に戻ってきた。これこそ、慣れ親しんだ資さんの味だ。
うどんチェーンは全国展開において“最も再現が難しい料理”のひとつであるはずだ。材料も分量も工程も同じにすれば再現できる…そんな単純な話ではない。
北九州発祥のうどんチェーン「資さんうどん」は、長く地域に根付いた存在として親しまれてきたが、近年は九州全県に加え、関東や関西、中国地方にも出店を重ね、エリアをまたいで利用される店へと広がった。店舗数はこの数年で急増。2018年に38店舗だったものが、現在は90店を超え、今年中には120店規模に達する見込みだ。
これだけ全国展開を続けながら、どのように「資さんうどんの味」を守り広げていこうとしているのか。その裏側は、想像以上に地道で、終わりのない改善の積み重ねだった。
全国展開は「水」の把握から始まる
うどんチェーンが全国で「その店らしい品質」を保つために、難関になるのは環境の違いだ。では、その現実を資さんうどん自身はどう捉えているのか。株式会社資さんの社長・佐藤崇史さんに尋ねてみた。
「まったく同じ材料を使って、同じ分量で作って、レシピ通りにやれば同じ味になるという考え方は、うどんではまったく通用しません」
理由は明確だ。水である。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら