どれだけ味のバランスが整っていても、提供時の温度が下がれば客が受ける印象は大きく変わってしまう。だから資さんうどんでは、店舗巡回を行う担当者が、提供直前の状態を確認する体制を取っている。
とくに気温が下がる季節には、営業チームでオペレーションの見直しやルールの追加を重ね、熱々の状態で提供できるよう徹底してきた。
「出汁は作り置きができません。各店舗で毎日取り続けるからこそ、作りたての最高の状態でご提供可能になります。しかし、その分だけ管理の難易度は高くなります」
資さんうどんが出汁に強いこだわりを持つ理由は、ここにある。
出汁の微妙な変化をいち早く察知できる背景には、「お客様の声」を改善まで結びつける仕組みもある。店舗のQRコードアンケート、ホームページ、電話、SNS、Google口コミ――あらゆる声が日々本部に集約される。
「昨日入った声は、今日すべて見られます」
紙アンケート中心だった頃に比べ、デジタル化でタイムラグはほぼ解消された。
現在はさまざまな声をリアルタイムで確認できるため、問題発見から対策を講じるまでの時間が短縮されただけでなく、該当チームが解決に取り組む体制も構築されている。
出店拡大で強固になった「資さん」らしさ
どの飲食チェーンも、規模が拡大するにつれて品質にばらつきが生まれる余地は大きくなる。ばらつきそのものが悪いわけではない。しかし、ばらつきがある限り、多くの人にとって「あの味」として記憶され、あの味を食べに行こうと行動を促す存在にはなりにくい。
資さんうどんでも、新しい地域への出店経験を積み重ねていく中で、かえって味の再現性は高まっていく結果となった。
つまり出店拡大は、「資さんうどんとは何か」を改めて問い直す機会でもあった。資さんうどんが大切にしてきた職人の感覚に頼っていた部分を丁寧に言語化し、すかいらーくの高度なデータ分析を掛け合わせることで「何が資さんうどんの良さなのか」をより確かなものにしていったのだ。
出汁を各店舗で取り続けず、効率だけを考えれば、集中生産という道もあるだろう。それでも資さんうどんが現場での仕込みを手放さないのは、作りたての状態こそが、最も高い価値を生むと考えているからだ。その前提を守るために、手間のかかる管理や調整を日々続けている。
全国展開は、味を均一にするための近道ではない。むしろ、違いと向き合い続ける覚悟を求められる道だ。資さんうどんは、その道を選んだ。
変わらない一杯は、変わらずに生まれるものではない。見えない差と向き合い続けた、地道な変化の積み重ねによって、ようやく近づけるものなのだ。
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