今後、日本銀行が何を言っても、政権の指示に従うだけだと思われ、その金融政策の力はほぼ失ってしまった。
ここでの問題は、それを政権が何とも思っていないところである。そればかりか、その後も、手段は日銀が決めるが、政策の方向性は政府が決める、という趣旨の発言を繰り返している。
これはまったくの間違いで、金融政策の方向性、つまり、金利の上げ下げこそ、日銀が独立して決めるのである。それこそが金融政策の独立性である。トランプ大統領はこの独立性を無視しているが、日本の現政権は、その独立性の意味を理解すらしていないのだ。今後、危機に陥った時に、この政府の下では、日銀では最適な対応が取れないだろうし、そう海外の投資家たちにコンセンサスとして確立してしまっている、これが最大の問題だ。何を言っても効果がなく、信じてもらえないからだ。
第2の例は、選挙の応援演説のリップサービスで、高市首相が「円安で外為特会はホクホクだ」、と発言したという有名な事件である。「台湾有事」での国会答弁での失敗に懲りずに、また安易なリップサービスで日本の金融市場を危機に陥れてしまった。
これを責められることを避けてか、直後のNHKの討論番組を、手の指の治療を理由にドタキャンし、その数時間後には、岐阜で応援演説を街頭で行ったことが一部で非難されているが、ここで、問題なのはドタキャンしたかどうかではない。円安が悪くないと本当に思っていることが世界中に知れ渡ってしまったということだ。少なくとも世界中はその認識で確定してしまい、今後、どんなに弁明しようが、円安放置が本音だと思われ続ける。
しかも、これは1月19日に日本国債が暴落したときに、それが米国債に飛び火し、米国債の暴落から、ドル安、株安の「米国トリプル安」を招いたと世界の金融市場で捉えられてしまい、ダボス会議の会場でアメリカのスコット・ベッセント財務長官に片山さつき財務大臣が注意を受け、片山大臣が必死の弁明をして、なんとかとりなしたその直後のことである。
高市首相は、円安の話と国債暴落の話とは関係ないと思っているだろう。「ちゃんと責任ある積極財政と言っているし、円安も円高もどちらがいいとは言えない、と言っただけだ」、と思っているだろう。そこが問題なのである。
選挙後、積極財政は180度転換を迫られることに
国債の暴落を抑えるには、円安を何が何でも抑え込まないといけない。そして、為替の方が言葉、今風に言えば、ナラティブ(物語)に非常に敏感である。円安が好ましいというようなニュアンスを、しかも首相自らが、1ミリでもにおわせたら、日本国債の運命は終わるのである。片山大臣がどんなにフォローしてもしきれない。
前述のように、しかも、現在、国債市場環境は、通常の何倍も為替に反応する構造になっている。この構造と、金融市場をまったく何も理解しない、しようともしない、失敗してもその失敗の理由に気づかない、そのような政権では、国債の暴落は必然である。
衆院選挙後は3月の年度末へ向けて、消費税減税がなかったとしても、財政支出の拡大だけでニュースになり、国債と円はともに暴落の危機にさらされるだろう。そして、実際に国債がデフォルト(債務不履行)しなくとも、価格が下落し暴落が暴落を呼ぶ展開になれば、日本の国債市場はその時点で崩壊であり、少なくとも積極財政は180度転換を迫られるだろう(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。


















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