そして、もう1つきわめて重要なのは、海外トレーダーのポジションには、為替レートの変動が直撃するということだ。国内トレーダーももちろん為替は加味する。だが、やはり海外系は、圧倒的に為替変化についてはそのまま「100%価格変動」と受け取る。さらに金利の変化よりも為替の変化のほうが読みにくく、変化の期待値に比べて実際の変化の大きさが大きいから、現実にはもっともボラティリティが大きいのが為替である。その変動に敏感なのだから、ものすごく売買を短期に行うことになる。
したがって、この為替センシティブなことを逆に利用して、為替と金利(オプション)を債券とセットで仕掛けてくることになる。海外トレーダーが増える、ということは、為替、金利、債券のトライアングルスパイラルが激しくなることを意味するのだ。
国債市場を理解していない現政権
ここに、もう1つの大きな理由が登場する。政権リスクである。現政権は、国債市場のことをまったく理解していない。理解する気もない。あろうことか、国債市場を壊すことを自らあえて試みてきているからである。
現政権は、拡張的な財政政策を標榜してきたことから、海外勢を中心に、財政悪化懸念がものすごく強い。当初、積極財政をとことんやる姿勢を見せたが、国債市場が大きく下落したことから、「責任ある」という接頭辞を必ずつけるようになり、それを強調し続けている。
しかし、「責任ある」ということを政権が強調すればするほど、海外投資家からの不信は深まり、政権の国債市場や為替に対する言葉を信用しなくなってしまった。これは最悪の事態である。政権、首相の言葉を海外投資家が何も信じなくなってしまっては、国債市場が危機に陥った時に、どんな対応をしても相手にされないということである。実際の実弾で国債を買い支える以外の手段がなくなってしまったのである。
現政権が、海外投資家から国債市場を守る気がないと決定的に見放された、これをもたらした明示的な事件は、誰もが知っているものだけでも2つある。
1つは、今年1月11日に、アメリカFRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長が「ドナルド・トランプ大統領には屈しない、金融政策はすべて米国民のために」、という趣旨のスピーチをFRBの公式声明ビデオとして発表したときだ。
中央銀行の独立性を守る決死のスピーチを世界中の多くの中央銀行は全力で支持し、支持の共同声明を出した。欧州、イギリス、カナダにとどまらず、ブラジルも韓国も当然のようにすぐさま賛同し、名を連ねたのに、日本銀行だけが加わらなかった。
しかも、事前に政権に相談した結果、そのような行動をとった、ということが報道された。それは中央銀行として屈辱的であるだけでなく、世界中の市場関係者から「やっぱり日銀はまったく独立していないんだ」と再確認されてしまった。


















無料会員登録はこちら
ログインはこちら