ボラティリティが上がると、ますますボラティリティが上がり、「ボラティリティがボラティリティを呼ぶ展開」になる。なぜなら、ボラティリティとはリスクであるから、安定的な買い手としては、リスク上昇により国債の市場価値は下がったとみなし、ますます買わなくなる。
すると市場価格も下がり、この下落により、ボラティリティを投資機会とみる短期投資家はますます買う。下がれば買い、上がれば売る。ボラティリティが増えると儲けるチャンスのタイミングが増え、売買機会が増える。すると、ますます短期筋の売買増加によりボラティリティは増加する。実際、海外投資家の長期国債保有比率は6.5%にすぎないが、売買比率は25年には65%にも及んだというデータがある(日本証券業協会のデータ)。
このボラティリティの上昇は、さらに安定的な投資家を国債市場から離れさせ、前述の第1の理由、安定した買い手を失うという状況はさらに悪化する。
「日本国債売買の浅い海外系投資家」が波乱要因に
第3に、ボラティリティを上げている投資家は短期筋であるが、その多くが海外系であるというのが大きな問題である。
短期筋ならすべて同じような投資行動をとるかというと、そうでもない。まさに個々それぞれなのだが、日本国債に関しては、海外勢には1つの大きな共通点がある。それは、国内勢に比べて、日本国債のトレード経験が浅いことだ。
それは何を意味するか。長い長いゼロ金利時代、イールドカーブコントロールの経験がない投資家も多いため(特に、日本国債に特化しているわけではない、商品投資顧問(CTA)に代表されるようなセクターローテーション系の、債券も株も金も銀も原油もやるようなトレーダーたち)、細やかな価格の変化は無視して、大きく乱暴に攻め立ててくる。だから、値動きがさらに荒くなる。ますます国内安定投資家が買いを控える。
もう1つは、「投資ユニバース」(投資対象、取引対象としている金融商品の範囲)が広いことである。
日本国債だけでスプレッド(利ざや)を稼ぐのではなく、それぞれの金融商品市場の短いモーメンタム(小さなブーム)に乗って取引をするから、変動の気配ですぐに日本国債を売って、米国債、あるいは金などにシフトする。
したがって、日本国債の見通しが長期的には悪くなくても、価格が下落し始めればすぐに売却するし、利回りの変化には敏感である。現在、日本国債の利回りの上昇に彼らは飛びついてきたが、利回りが少しでも下落すれば、利益を確定してキャピタルゲインを得るチャンスで売るし、利回りがさらに下落しそうになれば、すぐに逃げだす。
常に、米国債、欧州債、そのほかの国の債券との相対的な魅力の変化に即座に対応するから、より価格に敏感なのである。これは代替投資先があまりに豊富だ、ということに拠っているから、海外系、とりわけいろいろなセクターに投資、取引するトレーダーでは激しくなるのだ。だから、今後、ますますボラティリティが高まると思われる。


















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