和室には大量の古銭がどっさりと残されている。詳しく見れば戦前の硬貨まで混じっている。依頼主である娘たちも、これだけの量を集めていたとは把握していなかった。
長年、両親が暮らしていた部屋とあって、壁面にはカレンダーや小物を掛けていたと思われる釘、フックなどがそこかしこに刺さっている。
今回の依頼主は、この部屋に住んでいた夫婦の娘2人である。
2017年に娘たちが家を出てからは、両親が2人で暮らしていた。父親が亡くなった際は、遺品の片付けをしなかったという。母親は生前、「私が死んだときに一気に捨てて」と口にしていたからだ。
母親は日頃から骨董品店に通い、オーディオ機器などを買い集めるのが趣味だった。
そんな母親が亡くなったのは父親の他界から3年後、25年の6月だった。3月に入院し、そのまま病院で息を引き取ったという。死後、自治体の「住宅管理センター」からこんな知らせが届いた。依頼主である娘が話す。
「センターから『お母様が亡くなったのを確認したので、3カ月以内に退去してください』という連絡が来ました。退去前に確認に行くとも言われて。自分たちで少しは片付けたのですが、本や服、それに大きなスピーカーや古銭が多すぎて、とても手がつけられない状態でした」
一般の賃貸とは違う「公営住宅の厳格なルール」
退去に際し、管理センターから渡された書類には、撤去すべき項目に「赤丸」がつけられていた。
「赤い丸がついている項目は、すべて自分たちで撤去してくださいと言われました。でも、具体的な取り外しの方法については特に説明がなくて。基本的には“自分たちでやってください”というスタンスなんです。それを見て、自分たちだけでは無理だと思いました」(娘)


















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