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「成城でも下北沢でもない中途半端な大人の街…?」 水曜になると店が「一斉に」閉まる街を支える「エコシステム論」の全貌

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さて、冒頭で紹介したように、宗教学者の島田裕巳さんは、経堂に住み始めてほぼ30年だ。この街について、島田さんは、まずは次のように語る。

「多くの住民が、要するに街を愛しているんだね。学生時代にここに暮らして、結婚してから戻って来るパターンもわりとある。学校も多いから、子育てにも適している。毎年7月に行われる“経堂まつり”には地域の幼稚園や小学校、東京農大の学生もこぞって参加しますよ」

さらに、島田さんが続ける。

「あとね、この街は飲食店のレベルが高い。それを目当てにやってくる人もいます。その要因として、私は次の3つが大きく関係していると考えている」(島田さん)

飲食店のレベルが高い理由

その3つとは「大学」「美味しい魚」「酒」なのだそうだ。

「経堂の近辺には東京農業大学、日本大学の文理学部、国士舘大学などがあって、ここの学生が経堂の街でアルバイトをする。だからどの店も元気な若者が働いていて、活気がある。また、この街には“さかなや 魚真”っていう魚介の卸業者があって、居酒屋チェーンも展開しています。家庭向けの小売りもやっていて人気です。

さらに酒なんですが、東京農業大学は“醸造科学科”という学科を持っているんです。日本酒などの醸造技術を科学の面から研究している。ここを卒業した学生たちがとびきり美味しいお酒を作っていて、街の居酒屋ではこうした酒が手軽にたのしめるわけです」(島田さん)

東京農業大学のキャンパス案内板 応用生物科学部に醸造科学科の文字がある(筆者撮影)

確かに街を歩いていると、ちょっと寄ってみたくなるような個人経営の居酒屋にあちこちで出会う。島田さん曰く、「どの店も魚と酒が美味くて、大学生のアルバイトが活躍している」とのこと。「大学があるから人材が豊富→魚介卸しがあるから美味しい魚→農大の醸造科学科があるから酒がうまい」。これらが循環して、経堂ならではのエコシステムを築いているわけだ。

そんななかで、島田さんが贔屓にしているのが、「魚粋(世田谷区経堂1-12-4)」だ。せっかくなので、実際に店に行き、話を聞いた。

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【水曜日になると居酒屋が店を閉める理由】

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