なぜ介護ヘルパーは部屋のゴミを片付けてくれないのか。二見氏が言うように、そこには介護保険という制度による壁がある。
介護保険のサービスは公費で賄われているため、その使い道は細かく制限されている。「生活援助」という枠組みで認められているのは、あくまで「本人が日常生活を送るために最低限必要な範囲」の家事だけだ。
厚生労働省のガイドラインには、「日常的に行われる家事の範囲を超える行為(大掃除など)」が「できないこと」として記されている。
ゴミ屋敷の清掃は、この「大掃除」に該当してしまうのだ。
「財産権」の壁も立ちはだかる
また、時間的な問題も大きい。1軒あたりの訪問時間は被介護者の等級によるが、長くても1時間程度、短い場合は20分ほどだ。その限られた時間の中で、食事の用意や排泄介助、安否確認などを行いながら、部屋中にたまったゴミを片付けることは物理的に不可能である。
さらに、「勝手に捨ててはいけない」という本人の「財産権」の壁も立ちはだかる。他人から見ればゴミにしか見えなくても、本人が「捨てないでくれ」と言えば、捨てることはできない。
結局、ヘルパーにできるのは、その日に出た小さなゴミを袋にまとめて出すことくらいだ。増えていくゴミのスピードに片付けが追いつかなければ、外部からは「ヘルパーが来ているのに何もしていない」ように見えてしまう。これが、介護現場が抱える根深いジレンマである。
イーブイのような業者は、こうした制度の隙間でこぼれ落ちた問題を解決する役割を担っている。二見氏は、かつて「一般社団法人」の設立を考えたことがあったという。しかし、最終的には株式会社として民間業者でいることを選んだ。


















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