当日の作業員は7名。荷物の量が多く、仕分けにも時間がかかるが、運び出しのルートは確保しやすい。現場近くのホテルに待機している依頼主に、イーブイのスタッフが電話で最終的な確認を行う。
「作業は5時間ほどかかる見込みです。終わる1時間くらい前にあらためてご連絡しますね」
まずは玄関から応接間、寝室と、入り口に近い場所から荷物を運び出し、動線をつくる。そこから少しずつ奥へと進み、作業を進めていくことになった。
介護ヘルパーがゴミ屋敷の現場に抱えるジレンマ
「介護ヘルパーさんが出入りしていても、ゴミ屋敷の片付けまではできないんです。そこには“制度の壁”があります」
イーブイ代表の二見氏は、ゴミ屋敷の現場が抱える問題をそう指摘する。
二見氏の周りには介護事業を経営している知人がおり、たとえ利用者の家がゴミ屋敷状態になっていても、手を出すことができずに歯がゆい思いをしている現状を耳にしていた。
「ヘルパーさんも心苦しかったと思います。依頼主さんも、30年も海外にいれば、“ヘルパーさんがいるから大丈夫”と思うのは当然のことでしょう。でも、介護が必要な方のゴミ屋敷問題には、どうしても越えられない壁があるんです」
定期的に家を訪問しているのだから、介護ヘルパーはこの状況を知っていたはずだ。しかし、それを親族に伝えて「なんとかしてください」と言うことも、現場の判断では難しかったのかもしれない。
伝えたら伝えたで「ヘルパーなんだから、あなたたちがなんとかしてください」と無理を言われてしまうことだってあるだろう。ゆえに、淡々と業務をこなすしかなかった。
介護の専門家が入っていれば、生活環境がここまで悪化することはないと普通は考えてしまう。しかし、実際には「専門家の出入りがあっても、なぜかゴミ屋敷になる」という矛盾が、あちこちで起きている。


















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