新陳代謝悪い組織は隠蔽する力が働きやすい 不祥事企業を投資対象にする?しない?

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中野:ガバナンスへの課題は、企業も役所も一緒ですよね。結局、悪いことをやった時に、それを一所懸命に隠すのは誰かというと、組織を守ろうとする内部の幹部たちですよ。それはガバナンスを超えた共同体意識が、既得権益を守ろうとするからです。

渋澤:労働価値を生む場がその組織にしかないわけだから、それは守ろうとしますよね。

中野:だから終身雇用には、組織ぐるみで不正を隠蔽しようとする力学が働きやすいのだと思います。

渋澤:オリンパス事件は、不祥事が発覚した時のイギリス人社長が生え抜きではなく、子会社社員から昇進した人でした。組織を第三者の目で見ることができたし、社長の役目を全うしようとした。不正を働いていた元会長、元副社長に引責辞任を促したところ、逆に社長職を解任されるという泥仕合になり、結果、イギリス人社長はオリンパスの不正を公表したわけですが、これなどは結果的に、ガバナンスが機能した好例です。

深く隠蔽されると外部からは見抜けない

中野:それでも、オリンパスは10年以上も不正をごまかしてきたし、東芝でも社長3代にわたって行われた不正会計が表に出てこなかったわけですよね。企業が本気で隠そうとすると、なかなか見抜けないものですね。

藤野:東芝の場合、会計の専門家や粉飾ハンターと呼ばれる人たちがいるのですが、そういう人でも見抜くことができませんでした。その意味では、非常に悪質だと思います。なぜなら、非常に優秀な人たちが、会計上の痕跡を残さないように粉飾をしていたからです。それは、相当の悪意があったからです。

それをどうやって防ぐのかということに関しては、今のところはお手上げとは言わないまでも、企業文化も含めたより深いリサーチが必要です。運用サイドで言えば、1対1で社長に会って確認するという手もありますが、東芝ほどの大企業になると、そう頻繁に会うことはできませんし、会って話を聞いたとしても、そこまで深く隠蔽されると、それを見抜けるかどうか、ちょっと自信はありませんね。

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