激変する世界、変わらないニッポン--野口悠紀雄×ちきりん白熱対論「数の突破力を教えよう」番外編・その1
ちきりん たしかにそうですね。中国に関しては、野口先生が、中国経済が高度成長しているのに、中国の大学生は仕事がないということの理由を説明された分析をとても面白く拝見しました。
野口 需要・供給の理論です。職が見つからないとか大学卒業者が低賃金だというのは、需要に比べて供給が多すぎるということなのです。
ちきりん 大学の整備に比べて産業構造の転換が遅れているということなのでしょうか。
野口 大学生を過剰生産しているからです。中国の大学進学率は3~4割に達している。これは多すぎるのです。
ちきりん 大学生が就職できないのは、日本も一緒ですよね。
野口 日本は所得が高いから、進学率が5割ぐらいあってもおかしくない。でも、日本の10分の1の所得で進学率が3割を超えるというのは、異常です。
■ちょっとおかしいぞ、日本の統計!
ちきりん 日本にはしっかりとした統計があるのに、20年や30年前の区分のままのものが多いですね。連続性を大事にするあまりのことなのでしょうか。
野口 経済学でよくいう、「理論なき計測」ですね。本来は何を計測するか、ある種のモデルが頭の中にあって、それを確かめるためにデータを求めるべきです。「Science is Measurement(科学とは計測である)」というケルビンの言葉がありますが、計測も理論なしにしてはいけないと思います。